Genmai雑記帳

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破産法:開始時現存額主義

最高裁:物上保証人による弁済・破産開始時現存主義 - g-note(Genmai雑記帳)でupした判決について、解説を見ました。 判決原文
upした時に、「開始時現存額主義」などの知識がないため理解できない」と書きましたが、この解説で概ねわかりました。

破産法
(全部の履行をする義務を負う者が数人ある場合等の手続参加)
第百四条  数人が各自全部の履行をする義務を負う場合において、その全員又はそのうちの数人若しくは一人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてそれぞれの破産手続に参加することができる。
2  前項の場合において、他の全部の履行をする義務を負う者が破産手続開始後に債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為(以下この条において「弁済等」という。)をしたときであってもその債権の全額が消滅した場合を除き、その債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてその権利を行使することができる。
3  第一項に規定する場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者は、その全額について破産手続に参加することができる。ただし、債権者が破産手続開始の時において有する債権について破産手続に参加したときは、この限りでない。
4  第一項の規定により債権者が破産手続に参加した場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をしたときは、その債権の全額が消滅した場合に限り、その求償権を有する者は、その求償権の範囲内において、債権者が有した権利を破産債権者として行使することができる。
5  第二項の規定は破産者の債務を担保するため自己の財産を担保に供した第三者(以下この項において「物上保証人」という。)が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をした場合について、前二項の規定は物上保証人が破産者に対して将来行うことがある求償権を有する場合における当該物上保証人について準用する。

  破産法上、「〜複数の全部義務者を設けることが責任財産を集積して〜給付の実現をより確実にするという機能を有することにかんがみ〜手続開始の決定後に,他の全部義務者が弁済等をした場合であっても〜破産債権の全額が消滅しない限り〜手続開始の時における額で現存しているものとみて〜権利を行使することができる旨(いわゆる開始時現存額主義)を定め〜配当額を算定することとした〜」のだそうであり、「破産債権額と実体法上の債権額とのかい離を認める」ものなのだそうです。


  これ自体、知りませんでした。破産法と言う手続法の中で、実体法上の優先性までも規定してしまうと言うやり方もありなのか、と思いました。


  判決自体は、「「その債権の全額」も,特に「破産債権者の有する総債権」などと規定されていない以上,弁済等に係る当該破産債権の全額を意味すると解する〜当該破産債権についてはその全額が消滅しているのであるから〜複数債権の全部が消滅していなくても〜「その債権の全額が消滅した場合」に該当するものとして〜当該破産債権についてはその権利を行使することはできない」としています。