Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

(社外)取締役の会社に対する責任

 先日、責任限定契約書の作成依頼を受けました。
 登記自体は何度かやっておりましたが、今般、条文が分かりにくいため、社外役員が無報酬の場合の契約要否について議論がありましたので、簡単に整理してみました。
不要条項号削除・抽出加工分

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
第四百二十三条 〜「役員等」は、〜任務を怠ったときは〜会社に対し〜損害賠償責任を負う。


(株式会社に対する損害賠償責任の免除)
第四百二十四条  前条第一項の責任は、総株主の同意がなければ免除〜できない。


(責任の一部免除)
第四百二十五条  〜善意でかつ重大な過失がないときは、賠償〜責任〜額から〜(「最低責任限度額」)を控除して得た額を限度として株主総会の決議によって免除することができる。

最低責任限度額
一 〜職務執行の対価〜の〜年額〜に〜イからハまで(ハ:社外取締役〜、監査役〜=)を乗じ〜た額

(取締役等による免除に関する定款の定め)
第四百二十六条 〜監査役設置会社*1〜は、〜善意でかつ重大な過失がない場合において、〜内容〜状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、前条第一項〜により免除〜できる額を限度として取締役〜の過半数の同意(〜役会の決議)によって免除〜できる旨を定款で定めることができる。


(責任限定契約)
第四百二十七条 〜社外取締役〜、社外監査役〜の〜責任について、〜職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、
(A) 定款で定めた額の範囲内であらかじめ〜会社が定めた額*2
(B) 最低責任限度額との
いずれか高い額を限度とする旨の契約を〜締結〜できる旨を定款で定めることができる。

 無報酬であることは、425条〜427条の下限である「最低責任限度額」が0円となる可能性があることになりますが、427条の契約は、言わば「最高責任限度額」を定めるもの、と言うことになりましょうか。

*1:会計限定監査役を除く。法2九

*2:確定金額による範囲指定でなくても、「法令の定める額」などとしても可。「実務相談会社法(補遺)、商業登記全書5巻P374