Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

東京地判:葬儀費用・香典

昭和59(ワ)14629 立替金請求事件
昭和61年01月28日 東京地判
【判示事項】葬式費用は実質的な葬式主宰者が負担すべきであるとされた事例
弁護士の中山知行先生が取り上げておられましたので読んでみました。
http://d.hatena.ne.jp/kusunokilaw/20100918
 以下は、中山先生のブログからではなく、手持ちのデータベースからです。


 〜葬式費用とは〜とむらうのに直接必要な儀式費用をいう〜のが相当〜、棺柩その他葬具・葬式場設営・読経・火葬の費用、人夫の給料、墓地の代価、墓標の費用等が含まれるのみであつて、法要等の法事、石碑建立等の費用は、これに含まれない〜。〜寿司、料理、酒、ジユース、菓子等の各飲食代金及び〜四九日法要、納骨代、葬儀後見舞客食費〜葬式費用には含まれない〜。


 〜葬式をもつて〜費用が相続財産に関する費用であると解することはできない。〜
また、民法306条3号、309条1項は〜貧者にも、死者の身分相応の葬式を営ましめようとの社会政策的な配慮から、身分相応の〜その限度で、相続財産(遺産)が担保になる旨規定しているにすぎない〜これをもつて、葬式費用が相続財産に関する費用であると解することも〜葬式費用の負担者が相続人であると解することもできない。


 葬式は〜これを実施、挙行するのは〜遺族等の、死者に所縁ある者である。〜相続債務とみることは相当ではない。


 〜葬式費用は〜実施した者が負担するのが相当〜一般的には、喪主〜であるが、〜形式的なそれではなく、自己の責任と計算において、葬式を準備し、手配等して挙行した実質的な葬式主宰者を指す〜。葬儀社等に対して、債務を負担した者が〜自らの債務として負担すべき〜。


 〜香典とは、葬式費用に充てることを目的として〜喪主に対し贈与されるもの〜したがつて、香典返しも右主宰者において責任をもつて行うものというべき〜

(一般の先取特権
第三百六条  次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一  共益の費用
二  雇用関係
三  葬式の費用
四  日用品の供給


(葬式費用の先取特権
第三百九条  葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する。
2  前項の先取特権は、債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する。

 有名な判決ですが、一般の理解としては、「香典−葬儀費用=相続財産」と言う理解の人が多く、相続放棄の場面、相続財産管理の場面、時には後見等の場面などで、処理が必要となることが多いように思います。