Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:営業譲渡後のゴルフクラブの名称続用・免責登記

平成14(受)399 預託金返還請求事件
平成16年02月20日 最二小判
裁判要旨の要旨
 〜ゴルフ場の営業の譲渡がされ〜ゴルフクラブの名称を〜継続して使用しているときには〜特段の事情がない限り,譲受人は,商法26条1項の類推適用により〜譲渡人に交付した預託金の返還義務を負う。
裁判所 | 裁判例情報・・・・原文

 〜ゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合〜,〜営業の譲渡がされ〜ゴルフクラブの名称を〜継続して使用しているときには,譲受人が譲受後遅滞なく〜会員による〜優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,会員において,同一の営業主体による営業が継続〜と信じたり,〜債務の引受けがされたと信じたり〜ことは,無理からぬ〜。
 したがって〜特段の事情がない限り,商法26条1項の類推適用〜会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負う〜。

商法

第二十六条 営業ノ譲受人ガ譲渡人ノ商号ヲ続用スル場合ニ於テハ譲渡人ノ営業ニ因リテ生ジタル債務ニ付テハ譲受人モ亦其ノ弁済ノ責ニ任ズ
2 前項ノ規定ハ営業ノ譲渡後遅滞ナク譲受人ガ譲渡人ノ債務ニ付責ニ任ゼザル旨ヲ登記シタル場合ニハ之ヲ適用セズ営業ノ譲渡後遅滞ナク譲渡人及譲受人ヨリ第三者ニ対シ其ノ旨ノ通知ヲ為シタル場合ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル第三者ニ付亦同ジ



 商業登記の取扱変更(免責登記)に関連して有名な判決です。
 たまたま同職から質問を受けたので読み返して見ました。
 会社分割についての類似判例もあります。(平成18(受)890
 免責登記については「商業・法人登記300問」に佐々木大介先生が書かれているものが分かり安いと思います。この中で引用されている資料の原文から取り上げますと、

「商号の続用」とは、営業の譲渡とともに商号の譲渡がされ〜同一の商号を継続して使用する場合に限るものではありません。〜譲受人の使用する商号が〜従前の営業の継続を信じさせるものであるときは、多少の変更があっても商号の続用に当たる〜。
 さらに、営業譲渡以前から〜同一〜類似の商号を用いていた場合であっても、取引の社会通念上〜商号を継続使用していると認められるような外観を備えていると判断されるようなときには〜続用〜に当たる〜相当〜。
 〜商号を続用しないで、屋号のみを続用する場合においても〜免責の登記〜できる。(登記研究674)



 また、法務省見解としては、『当該事業譲渡が売買現物出資会社分割のいずれかに基づくものであるか、また、会社法第22条第1項の適用又は類推適用がされるべきものと考えられる事情(屋号の使用継続等)については要しない』としているようであり、逆に言うとこれらの場合は免責登記が可能と言うことになると思われます。