Genmai雑記帳

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東京高判:保証人による弁済と時効中断

平成6年(ネ)3721 貸金請求事件
平成7年2月14日 東京高判
判決要旨抜き書き

1 時効完成前に保証人が〜弁済し主債務を承認しても〜債権者と主債務者の間ではもちろん、債権者と保証人との関係でも主債務について時効中断の効力を生じない。

2 保証人の時効完成前の債務弁済があっても、特段の事情のない限り〜時効援用権は制限されない。

3 主債務の時効完成後に保証人が債務を弁済しても〜主債務の時効消滅に関わりなく保証債務を履行する趣旨に出たものでない限り〜主債務の時効援用権を失わない。

id:gen-mai の H07年02月14日・東京高裁H6(ネ)3721保証弁済と時効.pdf

時効完成前の保証人の債務弁済と主債務の時効中断について
 主債務について〜当事者ではない保証人が主債務を承認しても、〜主債務が存在している蓋然性が生じるわけではない。〜保証人による主債務の承認は、債権者と主債務者の間では勿論、債権者と保証人との関係でも主債務について時効中断の効力を生ぜず、主債務の消滅時効期間は保証人の債務の承認があっても進行し、主債務か時効消滅するときには、保証債務は主債務に付従して消滅する〜。


時効完成前の保証人の債務弁済と時効援用権の制限について
 主債務の時効完成前に保証人が保証債務を履行した事実があるからといって〜将来主債務の時効が完成した場合でも〜援用せず保証債務を履行するという確定的な意思を表明したとはいえない。〜保証人の時効完成前の債務弁済があっても〜時効援用権は制限されない〜。


時効完成後の保証人の債務弁済と時効利益の放棄について
 主債務の時効完成後に保証人が保証債務を履行した場合で、主債務が時効〜消滅するか否かにかかわりなく保証債務を履行するという趣旨に出たものであるときは格別、〜保証人は、主債務の時効を援用する権利を失わない〜。

弁護士中山知行先生が取り上げておられましたので読んでみました。
上記3に関して、
保証人が,主債務の時効完成後に保証債務自体を承認等しても,その後,主債務の時効を援用することは,信義則に反しないというのが判例です。と書いておられます。
また、その理由は、債権・債務の当事者以外の者の承認によっては、時効中断効の拠り所である債務が存在している蓋然性が生じるわけではないということ。と書いておられます。(中山先生感謝)
http://d.hatena.ne.jp/kusunokilaw/20101110

参考
g-note(Genmai雑記帳)
最高裁:主債務の時効完成、主債務者破産後の保証人の弁済 - g-note(Genmai雑記帳)