Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:土地管轄ある訴訟の併合

平成23(許)13 分離移送決定〜
平成23年05月30日 最二小決
裁判要旨

 民訴法38条後段の共同訴訟であって,いずれ〜も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されることはない

民訴法
判決原文

(共同訴訟の要件)
第三十八条 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。

(併合請求における管轄)
第七条 一の訴えで数個の請求をする場合には、第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)の規定により一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第三十八条前段に定める場合に限る

(併合請求の場合の価額の算定)
第九条  一の訴えで数個の請求をする場合には、その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする。ただし、その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合におけるその各請求については、この限りでない。

貸金業者が6名を相手にした貸金訴訟を,被告全員の住所地を管轄する名古屋地方裁判所に併合して提起〜。

〜本件訴訟は〜法38条後段の共同訴訟に当たり,各被告に対する請求額は,いずれも140万円を超えないが,これらを合算した額は140万円を超える。

〜原審は

 法38条後段の共同訴訟については,法7条ただし書により同条本文は適用されず,受訴裁判所に併合請求による管轄が生ずることはなく,併合請求が可能であることを前提とする法9条を適用する余地はないから,相手方に対する請求額が140万円を超えない以上,相手方に係る訴訟は簡易裁判所の管轄に属する

と判断しましたが、最高裁は、

 法38条後段の共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,法7条ただし書により法9条の適用が排除されることはない〜

 〜いずれの被告に係る部分も〜名古屋地裁が土地管轄権を有しているから〜本件訴訟は〜9条1項本文により140万円を超えることになり,同裁判所の事物管轄に属するものというべきである。

 民訴のわからない私には、良くわかりません。
7条の「一の請求について管轄権を有する裁判所に〜提起〜できる」と言うのは、「土地管轄」の併合を認める趣旨であり、後段はその例外を定めるものであるので、今回のケースのように、土地管轄がすべて同じものについては、そもそも7条の適用がなく、併合できる。その結果、訴訟の目的の価額も合算されて、簡裁ではなくなる・・・・・、と言う読み方で良いのでしょうか?(自信ありません。)
 いずれにしても、簡裁代理権しか有しない者にとっては、記憶にとどめておきたい判例です。