Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:背信的悪意者からの転得者

平成5(オ)956 公道確認等
平成8年10月29日 最三小決
裁判要旨の要旨

 甲→乙買受、その登記が未了の間に、甲→丙が二重に買受、更に丙→丁(転得者)買受、登記完了。
丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者〜でない限り、〜乙に対抗〜できる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文

〜所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、丙が当該不動産を甲から二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、たとい丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をも
って乙に対抗することができるものと解するのが相当〜

(一) 丙が背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、乙は、丙が〜乙に対抗することができないことの反面として〜丙に対抗することができるというにとどまり、甲丙間の売買自体の無効を来すものではなく〜丁は無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならない〜、

(二) 背信的悪意者が正当な利益を有する第三者に当たらないとして民法一七七条の「第三者」から排除される所以は、第一譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第一譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第一譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄であるからである。


弁護士の中山知行先生が取り上げておられました。(感謝)
http://d.hatena.ne.jp/kusunokilaw/20110225