Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:慰謝料と詐害行為

平成10(オ)560 配当異議事件
平成12年03月09日 最高裁一小 判決
裁判要旨

 一 〜財産分与〜給付〜合意は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきである。

 二 〜慰謝料として配偶者の一方が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額を支払う旨の合意は、右損害賠償債務の額を超えた部分について、詐害行為取消権行使の対象となる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文

被上告人の第一審の請求
〜主位的請求として、本件合意が通謀虚偽表示により無効〜
〜予備的請求として、詐害行為取消権に基づき〜合意を取り消し〜

第一審判決:主位的請求を認容
原審:〜通謀虚偽表示であるとはいえないが〜生活費補助及び慰謝料の額は〜財産分与的要素が含まれているとみても不相当に過大〜、財産分与に仮託してされたもの〜詐害行為〜として予備的請求を認容

最高裁

 〜財産分与は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない

 〜右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その
限度において詐害行為として取り消されるべきもの〜

〜慰謝料〜の合意は〜その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として発生した損害賠償債務の存在を確認し、賠償額を確定してその支払を約する行為であって、新たに創設的に債務を負担するものとはいえないから、詐害行為とはならない。

〜損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料〜の合意〜は〜右損害賠償債務の額を超えた部分については、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約ないし対価を欠いた新たな債務負担行為というべきであるから、詐害行為取消権行使の対象となり得る

として、不相当に過大であるとした判断は正当であるが、不相当分を算出して、その限度で取り消すべきであったとして、差し戻した。

 先日、ある奥さんから似たような電話がありました。

2011-04-07で取り上げておられたものです。(感謝)