Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:懲戒請求の呼びかけ3(懲戒請求権が何人にも認められていることの意義2)

 昨日に引き続き、平成21(受)1905 平成23年07月15日最二小判決の参考意見を、制度としての懲戒に関する部分について取り上げてみたいと思います。
 私自身は、我々司法書士の懲戒を考える中で読んでおりますので、私自身の興味ある部分を抜き書きしており、筆者の意図とは離れてしまった要約になっていることを注記致します。

裁判官須藤正彦の補足意見 (左記リンクの原文の中の下線は私が付したものです。)

 〜弁護士法上,「何人も」懲戒請求の申出が認められる〜。その趣旨は,弁護士にあっては,主権者たる国民によりいわゆる「弁護士自治」が負託され,弁護士の懲戒権限が,弁護士会に固有の自律的権能として与えられている〜,その権限の行使が適正になされるためには,それについて国民の監視を受けて広く何人にも懲戒請求が認められることが必要であるからということにある。

〜弁護士自治ないしは自律的懲戒制度の存立基盤をなすのは,主権者たる国民の信認であるから〜,〜懲戒請求が認められる者の範囲は広くかつ柔軟に解されるべきであって,厳格な調査,検討を求めて,一般国民による懲戒請求の門戸を狭めるようなことがあってはならない〜。

〜しかしながら〜「何人も」とされていることは〜恣意的な懲戒請求を許容したり,広く免責を与えることを意味するわけではない。

 〜懲戒請求者は,懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負うものであり〜,その〜義務は上記のとおり厳格に要求されるものではないとしても,安易に懲戒請求がなされてよいということではない〜。

〜肝腎なことは,懲戒請求が広く認められるのは〜「品位を失うべき非行」等の懲戒事由がある場合に,弁護士会により懲戒権限が,いわば「疎にして漏らす」ことなく行使されるようにするためであるということである〜。

懲戒請求は,弁護士活動に対する批判のための手段として設けられた制度ではないし,弁護士活動に対する苦情申立制度でもない〜。

〜弁護士は〜その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている〜,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め〜,自律的懲戒権限を付与しているものである以上〜不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にある〜。

〜懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから〜時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。