Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:不当提訴の事実認定と不法行為性の認定・+解説

(g-note(Genmai雑記帳))の再掲+解説についてです。)

平成21(受)1539 損害賠償請求本訴,同反訴事件
平成22年07月09日 最二小 判決
裁判要旨の要旨

 本訴提起を不法行為とする反訴について,本訴〜請求原因事実と相反することとなる〜事実を積極的に認定しながら〜,本訴原告の記憶違いや〜思い違い〜などの事情について認定説示することなく〜不法行為〜を否定した原審判断〜違法〜。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文
 内容については、前掲記事(g-note(Genmai雑記帳))のとおりですが、解説記事からわかったことを付け加えますと、
 第一審は、原告の訴えは悪質な濫訴〜として請求をすべて棄却したとのことで、
 また、原審は、請求自体は棄却して、業務上横領で逮捕後1週間で釈放されていること、〜事実的根拠を欠くことを認識しながら請求原因事実としているのではないかとの疑いを禁じえないではない〜としながらも、
 全体的にみれば、〜自己の主張す〜が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら又は〜あえて本訴を提起した〜、本訴の提起が〜著しく相当性を欠くものとまでは認めることはできないとして、その不法行為責任を否定して、反訴請求を棄却したとのことです。

昭和63年の判例によれば、訴え提起が不法行為となることの要件は、

1)〜主張した権利または法律関係が事実的、法律的根拠を欠くもの〜
2)提訴者がそのことを知りながらまたは〜容易に〜知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなどの事情があること、
3)訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められること

 となるようで、解説は、この判例の意義は、
〜原審が訴え請求の請求原因事実と相反する事実を認定していながら、本訴の提起の不法行為該当性を否定しているからであり、
〜このような場含には、記憶違いや通常人にもあり得る思い違いをしていたことなどの事情がない限り不法行為に該当する〜
と判示した点にあると、しております。