Genmai雑記帳

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最高裁:集合債権譲渡担保の第三者対抗要件

上記判例と同一事件についての判例のようです。

平成12(受)194 供託金還付請求権確認請求事件
平成13年11月22日 最一小 判決
裁判要旨の要旨

甲が乙に対する〜債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡〜し,「乙が丙に〜担保権実行〜通知をするまでは甲に〜取立てを許諾し〜乙への引渡しを要しない」との〜いわゆる集合債権〜譲渡担保契約において,〜譲渡を第三者に対抗するには,指名債権譲渡の対抗要件の方法による〜。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文
(抽出・加工あり)
〜DはJとの間で〜次の〜債権〜を譲渡する〜債権譲渡担保設定契約〜を締結〜。
 〜継続的取引契約に基づき,
(ア)〜現在有する〜債権,(イ)同日から1年の間に取得する〜債権
 本件契約に〜は,〜第三債務者であるFに対し譲渡担保権実行の通知をするまでは,DがFから〜弁済を受けることができるものとされている。

〜確定日付のある内容証明郵便をもって,債権譲渡担保設定通知〜Fに到達〜。
「Dは〜Fに対して有する〜目的債権につき,Jを権利者とする譲渡担保権を設定したので,民法467条に基づいて通知する。JからFに対して譲渡担保権実行通知(書面又は口頭による。)がされた場合には,この債権に対する弁済を上告人にされたい。」旨記載

〜期限の利益喪失〜担保権実行の事由が発生〜。Jは,Fに対し〜書面をもって〜譲渡担保権実行通知〜。同書面に確定日付はない。

原審は,次のとおり判示。

(1)本件通知には,〜別途の通知があった場合にはJに弁済することを求めるとの記載もあるから〜当面は〜設定による制約を受けない旨通知されていることになる。〜また別途の通知があるまでは〜相殺することも容認しているものと考えられる。このことは〜債権の帰属に変化はなく,あくまでも〜Dが債権者であることを意味する〜。
 〜本件通知は〜債権が移転したことを通知したものと認めることはできず〜第三者対抗要件としての〜効力を認めることはできない。

(2)本件契約が,将来,〜担保権実行の通知をした時点で〜債権が移転するという内容であったとしても〜その対抗要件であると認めることはできない。〜通知を受けた時点では,〜実行の事由が発生するか不明であり,実行の通知の有無,時期について全く不確定であるから,このような不確実な将来の事由が生じたら債権譲渡の効力を発生させるということを通知するにすぎない本件通知をもって〜対抗要件としての通知の効力を認めることはできない。

しかし、最高裁は、次のとおり判示し、対抗力を認めました。

(1)甲が乙に対する〜債務の担保として,発生原因となる取引の種類,発生期間等で特定される甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対し〜取立ての通知をするまでは〜取立てを甲に許諾し〜乙への引渡しを要しないこととした甲,乙間の債権譲渡契約は,いわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約といわれるものの1つ〜。
 この場合は〜又は将来生ずべき債権は〜確定的に譲渡されており,ただ,〜一部について,甲に取立権限を付与し〜乙への引渡しを要しないとの合意が付加されているものと解すべき〜

上記債権譲渡〜第三者対抗要件〜は,指名債権譲渡の対抗要件〜によることができる〜,〜丙に対し,甲に付与された取立権限の行使への協力を依頼したとしても,第三者対抗要件の効果を妨げるものではない。

(2)〜債権の特定に欠けるところはない。〜通知の記載として欠けるところはない〜。
〜「〜譲渡担保権実行通知(書面又は口頭による。)がされた場合には,この債権に対する弁済をJにされたい。」旨の記載があるが,この記載は〜別途の通知がされるまではDに支払うよう依頼するとの趣旨を包含するものと解すべき〜,この記載〜によって〜債権が〜移転した旨の通知と認めることができないとすることは失当〜。