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法定地上権・判例5:抵当権設定後の建物の再築

法定地上権・条文 - g-note(Genmai雑記帳)
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ウィキペディア登載の判例(抽出加工あり)+α
原文が確認できたものは、後日、このページからのリンクを付けておきます。
5.抵当権設定後の建物の再築

〔大判昭10.8.10〕
 土地及びその地上の建物が同一の所有者に属し、土地に抵当権が設定された場合、競売前に建物が朽廃したときは格別であるが、建物所有者がこれを取り壊して新しい建物を右土地に再築したときは、旧建物と同一の範囲で新建物のために法定地上権が成立する。

〔大判昭13.5.25〕
 甲所有の土地・建物に抵当権が設定された後、建物が焼失し、甲の妻が建物を再築した場合は、旧建物と同一の範囲で新建物のために法定地上権が成立する。

 ★この判決は、平成9年02月14日判決により変更されました。

東京地裁執行部の見解平4.6.8〕
従来の判例(同一所有者の土地・建物に共同抵当権の設定を受けて融資を受けた後に建物が取り壊され新たな建物が建築され、その後に土地抵当権が実行された場合には、旧建物と同一の範囲内において新建物のための法定地上権が成立する。)の見解を改め、「土地及びその上に存在する建物(旧建物)について、共同抵当権の設定を受けた者がいる場合に、その後旧建物が滅失して同じ土地上に新たな建物(新建物)が建築された場合、旧建物に法定地上権が成立する要件があったときでも、その法定地上権は新建物には成立しない。」例外的に、「新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定登記を受けたとき(中略)には、新建物についての法定地上権が成立するものと解釈するのが相当である」とする見解を打ち出した。この後、この見解を支持する裁判例が多くなった。

最判平9.2.14(NO.5-1)
土地および地上建物に共同抵当権が設定された後、建物が取り壊され、新建物が建築された場合、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物の抵当権者が土地と同順位の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない。

最判平9.6.5(NO.5-2)
土地・建物に共同抵当権設定後に旧建物を取り壊し、新建物が建築され、同順位の共同抵当権の設定を受けたが、新建物に追加設定の抵当権に優先する国税があり、競売事件で交付要求がされた場合には、法定地上権は成立しない。(これを、法定地上権が成立するとすれば、土地の評価は法定地上権割合を控除したものとなり、抵当権者に不利益をもたらし、不合理である。上記〔最判平9.2.14〕の特段の場合でも、新建物に設定された抵当権に優先する債権(国税)が存在する時は、法定地上権は成立しない。)

大阪高裁判平9.6.13(NO.5-3)
土地・建物に共同抵当権設定後に旧建物を取り壊し、新建物が建築された場合、根抵当権者が、根抵当権設定の際、右建物が近日中に取り壊され、新建物が建築されることを了解していたとしても、新建物のための法定地上権は成立しない。

最判平10.7.3(NO.5-4)
土地・建物に共同抵当権設定後に旧建物を取り壊し、新建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない。

東京地裁判平10.10.9]〕(NO.5-5)
土地・建物に共同根抵当権設定後に旧建物を取り壊し、新建物が建築された場合、根抵当権者が、旧建物を取り壊しの際、旧建物の根抵当権設定契約が解除されたことが認められ、また、そのことなどにより、根抵当権者が旧建物の取壊しを承諾していたと認められるとしても、そのことをもってして、根抵当権が設定されていないその後に建築された建物のために法定地上権の成立が認められるべき特段の事情があるとまでは到底いえない。