Genmai雑記帳

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最高裁:破産後の取締役による放火と保険免責条項

平成12(受)56 取立債権請求事件
平成16年06月10日 最一小 判決
判決要旨の要旨

〜会社の〜取締役〜は,破産宣告によっては取締役の地位を当然には失わず,社員総会の招集等の会社組織に係る行為等については,取締役としての権限を行使し得る〜

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文
 火災保険に「〜取締役〜の故意〜によって生じた損害に対しては,保険金を支払わない」旨の免責条項があった。
 会社破産後、取締役が放火した。
原審

本件免責条項では,「取締役」が,保険契約関係にかかわり得る者であり,あるいは保険の目的を維持管理すべき立場にあり,保険の利益を受ける者であることが基本的な前提とされている〜。

 〜破産により解散した場合〜その法人格は破産による清算の枠内で存続するにすぎず,会社財産の管理処分権は破産管財人に専属する〜

〜従前の取締役は〜一定の限度で取締役の地位を保持すると解するとしても,保険契約関係や会社財産の管理処分にかかわる余地がなくなる。〜

〜その地位を失わないと解するとしても,本件免責条項が前提とする「取締役」とは,その性格が著しく異なる〜ものになる。〜本件免責条項に規定する「取締役」には該当しない〜

最高裁

本件免責条項が〜事故の招致をした者の範囲を明確かつ画一的に定めていること等にかんがみると〜「取締役」の意義については,文字どおり,取締役の地位にある者をいうものと解すべきである。

〜破産〜当時に取締役の地位にあった者は,破産宣告によっては取締役の地位を当然には失わず,社員総会の招集等の会社組織に係る行為等については,取締役としての権限を行使し得ると解されるから,上記「取締役」に該当すると解する〜

破産管財人が選任されていたが〜依然として,取締役の地位にあったのであるから〜放火による本件建物の焼失は,本件免責条項にいう取締役の故意による事故招致に該当する〜