Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

福岡高裁:洗濯物を干そうとして転落

平成18(ネ)229 損害賠償請求控訴事件
平成19年03月20日 福岡高裁 破棄自判
判示事項の要旨

1 Aは,洗濯物を干すときには,2階の〜窓(窓までの腰高は約73センチメートルで,手すりはない。)の外に取り付けてあった竿受け金具に物干し竿を渡し,その竿に干していた。〜転落し〜脳死の状態に〜結局死亡〜。

2 〜手すりがないことが建物の欠陥であると主張して〜損害賠償を請求〜。
  原判決は〜できて30年近くになるが〜無事故であること,入居者から特に危険であるとの指摘もなかったこと,〜入居後2年以上生活をしていて,洗濯物を干してきたことなどの理由により〜欠陥はなかったとして〜請求を棄却〜。

3 〜約73センチメートルあることから,それ自体は欠陥とはいえないが〜洗濯物を干すために利用しており〜竿受け金具が錆び付いて伸縮できなくなっていたところから,身体を戸外に伸び出す姿勢を取ることになるので,一定の危険があることは否定できず〜手すりを備えるべきであった〜責任を認めた。
 ただし,Aにも重大な過失があった〜損害〜90パーセントの過失相殺(減額)〜

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文

国民生活センター解説
〜建築法規には〜窓の腰高について〜規定はなく、〜業界では、一般に幼児が足をかけてよじ登ることができる高さ65cmと、幼児の転落を防止するに足りる高さ85cmを参考にするのが相当であるとされている。

しかし、本判決は、そのことだけで窓の通常有すべき安全性が決まるわけではないとして、その窓の利用方法などを考慮して安全性が欠けていると判断したものである。

 土地工作物の設置保存の瑕疵の主張に対して、行政法規に違反していないという反論だけでは適切な抗弁とはならないことを明らかにしたものである。

責任を肯定した事例、責任を否定した事例などが出ています。