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法定地上権・判例5-1:共同抵当権設後の建物再築

法定地上権・判例5:抵当権設定後の建物の再築 - g-note(Genmai雑記帳)
平成7(オ)261 短期賃貸借解除等
平成9年02月14日 最三小 判決
裁判要旨の要旨

 〜土地〜建物に共同抵当権を設定した後右建物が取り壊され〜新たに建物が建築された場合〜、〜土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない。

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(抽出・加工あり)

 土地〜建物の所有者が土地のみに抵当権を設定した場合、建物のために地上権を留保するのが〜当事者の意思であると推定することができるから、建物が建て替えられたときにも、旧建物の範囲内で法定地上権の成立が認められている(大審院昭和一〇年(オ)第三七三号同年八月一〇日判決〜)。

 また、所有者が土地〜建物に共同抵当権を設定した場合、抵当権者はこれにより土地及び建物全体の担保価値を把握することになるが、右建物が存在する限りにおいては、右建物のために法定地上権の成立を認めることは〜当事者の意思に反するものではない(〜昭和三五年(オ)第九四一号同三七年九月四日〜。なお、この判決は、〜設定当時の建物が存続している事案についてのもので〜)。

 これに対し、所有者が土地〜建物に共同抵当権を設定した後〜建物が取り壊され〜新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地〜と同一であり、かつ、〜土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない〜

けだし、
〜土地〜建物に共同抵当権が設定された場合、抵当権者は土地及び建物全体の担保価値を把握しているから、抵当権の設定された建物が存続する限りは〜法定地上権が成立することを許容するが、建物が取り壊されたときは〜法定地上権の制約のない更地としての担保価値を把握しようとするのが、抵当権設定当事者の合理的意思〜、抵当権が設定されない新建物のために法定地上権の成立を認めるとすれば、抵当権者は、〜法定地上権の価額相当の価値だけ減少した〜価値に限定されることになって、不測の損害を被る結果になり〜当事者の合理的な意思に反する〜

 〜このように解すると、建物を保護するという公益的要請に反する結果となることもあり得るが〜当事者の合理的意思に反してまでも右公益的要請を重視すべきであるとはいえない大審院昭和一三年(オ)第六二号同年五月二五日判決〜は、〜抵触する限度で変更すべき〜。