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法定地上権・判例5-2:共同抵当権設後の建物再築2

法定地上権・判例5:抵当権設定後の建物の再築 - g-note(Genmai雑記帳)

平成5(オ)2172 配当異議
平成9年06月05日 最一小 判決
裁判要旨の要旨

 所有者が、土地〜建物に共同抵当権を設定した後、建物を取り壊し〜新たに建物を建築し、新建物について土地〜と同順位の〜設定した場合であっても、新建物についての抵当権の被担保債権に優先する国税について〜交付要求がされたときには、〜法定地上権は成立しない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文

〜(要旨の場合、)上告人は〜法定地上権は成立しないから〜国税債権として新建物から優先的に弁済を受けられるのは最大限で新建物の材木価額にとどまるなどと主張〜

原審〜上告人の請求を棄却〜。

 〜共同抵当権が設定された後〜取り壊され〜新建物が建築された場合でも、土地所有者が新建物を建築し、かつ、新建物に土地の抵当権と同順位の共同抵当権が設定された場合には、新建物に法定地上権が成立する。〜
〜新建物のために法定地上権の成立が認められる。したがって〜配当額は、被上告人に配当すべき〜。

しかし最高裁は、

 〜場合であっても、新建物〜抵当権〜に法律上優先する債権が存在するときは〜特段の事情がある場合には当たらず、新建物のために法定地上権が成立しない〜

〜新建物に土地と同順位の共同抵当権が設定された場合は、抵当権者は、旧建物に抵当権の設定を受けていたときと同様に土地全体の価値を把握することができるから、新建物のために法定地上権の成立を認めても不利益を被ることがない。しかし、新建物に設定された抵当権の被担保債権に法律上優先する債権が存在する場合は、新建物に右抵当権に優先する担保権が設定されている場合と実質的に異なるところがなく、抵当権者にとっては、新建物に抵当権の設定を受けないときは土地全体の担保価値を把握することができるのに、新建物に抵当権の設定を受けることによって、かえって法定地上権の価額に相当する価値を把握することができない結果となり、その合理的意思に反するからである。〜

国税債権は〜新抵当権の被担保債権に優先するから、右の特段の事情がある場合に当たらず、新建物のために法定地上権は成立しない〜。

〜そうすると、新抵当権によって把握される担保価値は、法定地上権のない新建物自体の価値にすぎず、本件土地全体の担保価値は、本件土地に設定された抵当権によって把握されているということができ、本件配当において〜国税債権が上告人の債権に優先するのは、新建物自体の価値についてだけである〜。