Genmai雑記帳

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法定地上権・判例5-3:再築を了解していた場合

法定地上権・判例5:抵当権設定後の建物の再築 - g-note(Genmai雑記帳)

平成8年(ネ)第1508号 建物収去土地明渡請求控訴事件
平成9年6月13日 大阪高裁 判決
【判決要旨】

土地と〜建物に共同根抵当権が設定された後に〜取り壊されて新建物が建築された場合、根抵当権者が〜設定の際〜近日中に取り壊され、新建物が建築されることを了解していたとしても、新建物のための法定地上権は成立しない〜

判決原文

〜(要旨の)場合には、新建物の所有者が土地〜と同一であり、かつ、〜建築された時点での〜土地〜と同順位の共同抵当の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない〜

〜けだし、土地及び〜建物に共同抵当権が設定された場合、抵当権者は土地及び建物全体の担保価値を把握しているから、抵当権の設定された建物が存続する限りは当該建物のために法定地上権が成立することを許容するが、〜取り壊されたときは土地について法定地上権の制約のない更地としての担保価値を把握しようとするのが、抵当権設定当事者の合理的意思であり、抵当権が設定されない新建物のために法定地上権の成立を認めるとすれば、〜当初は土地全体の価値を把握していたのに、その担保価値が法定地上権の価額相当の価値だけ減少した土地の価値に限定されることになって、不測の損害を被る結果になり〜当事者の合理的な意思に反するからである。

〜なお、本件においては〜、〜設定の際、旧建物が近日中に取り壊され、新建物が建築されることを了解しており、また、右新建物にも旧建物と同様の根抵当権を設定することを合意していたものではあるが、このような場合、根抵当権設定当事者の合理的意思としては、新建物について土地の根抵当権と同順位の共同根抵当権が現実に設定された場合に初めて新建物のために法定地上権が成立するものと了解するというものであって、新建物についての共同根抵当権が設定される以前から予め新建物のために法定地上権を留保することが根抵当権設定当事者の合理的意思であるとは到底推定できないというべきである。

〜本件においても〜本件土地の交換価値のうち法定地上権に相当する部分については新建物にも旧建物と同様の根抵当権の設定を受けることによって確保することを意図していたものであって、
新建物が建築されれば新建物に根抵当権が設定されなくても新建物のために法定地上権が成立して、本件土地の交換価値のうち法定地上権に相当する部分を失う、などということを〜覚悟していたものとは到底認められない〜

〜同順位の共同根抵当権が現実に設定されていない本件において〜法定地上権の成立する特段の事情があると解することはできない。