Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

高齢者消除587人・相続登記

 〜一連の問題を受け、国は昨年9月6日付で、120歳以上で戸籍の付票に住所記載がなければ、自治体が職権で戸籍を削除する手続きに入れるよう運用を簡略化する通知を出した。〜
 〜県内の対象者は追加調査分も含め787人。〜6月末までに587人分(74・6%)が削除〜。(asahi.com)
http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000001109170006

高齢者抹消の処理と相続登記の可否

 戸籍上高齢者抹消の処理がされただけでは、相続登記はできない。
(昭32.12.27、民事三発第1,384号民事局第三課長事務代理回答・登研123号34頁)

相続を証する書面(登研379号)

 ○要旨 戸籍謄本等の身分事項欄に「年月日時及び場所不詳死亡昭和 年 月 日付許可を得て 月 日除籍印」と記載されている場合においてその記載が百歳以上の死亡の蓋然性の高い高齢者について一定の要件のもとに戸籍上の整理をするためになされたものであるときは、この戸籍謄本等をもって相続を証する書面とすることはできない。

 ▽問 被相続人の戸籍の身分事項欄に「年月日時場所不詳死亡昭和何年何月何日付許可を得て同月何日除籍」とある場合には、登記原因及びその日付を「年月日不詳相続」として相続の登記申請ができるとされています(登記研究330号77頁質疑応答〔5156〕)が、かかる戸籍の記載は、百歳以上の高齢者についてする死亡の職権記載(戸籍の参考記載例123参照)の場合と考えられ、このような記載のされている戸籍謄本等を添付して相続の登記申請はできないものと考えますが、いかがでしょうか。

 ◇答 戸籍等に「年月日時及び場所不詳死亡昭和 年 月 日付許可を得て 月 日除籍印」と記載されている場合は、御指摘のとおり、一般的には、死亡の蓋然性の高い高齢者について、いわば戸籍整理の行政措置として市町村長が監督局の長の許可を得て職権で死亡の記載をする場合(大5、2、3民1836号回答、大5、11、9民1784号通牒等参照)であると考えられます。

この措置により戸籍上は死亡によって除籍されたとしても、相続の開始した日が明らかではないので、死亡の日又は失踪宣告により死亡とみなされる日が戸籍に記載されない限り、右の戸籍謄本等をもって相続を証する書面とすることはできないことは明らかです(昭和32、12、27民事(三)発1384号回答)。

 しかし、例えば、寺の過去帳等により死亡した事実は明らかであるものの、死亡の年月日時分及び死亡場所を明らかにすることができないため、届出義務者(又は利害関係人)から死亡の年月日時分及び死亡場所不詳として死亡の届出がなされた場合に、市町村から監督局に右届出の受理伺い(又は職権記載許可申請)がなされ、それが認容(又は許可)されるということがあり得ることは理論上考えられるところです。

そして、この場合、戸籍の記載は、結果的には前記の場合と同じような振り合いになるものと考えますが、高齢者消除の場合とは異なりますので、当該死亡除籍の記載のある戸籍謄本等は、一応、相続を証する書面となり得ましょう(もっとも、この場合でも、相続開始の日が明らかとされていないため、相続人の範囲を確定できないことがあり、このような場合、この書類のみでは相続登記が認められないことになります。)。

したがって、右のような死亡除籍の記載がされている戸籍謄本等を添付して相続の登記申請があった場合には、その辺の事情を慎重に判断の上処理する必要があるものと考えます。

 なお、右の百歳以上の高齢者について職権でする戸籍の記載例が、一般的には理解されにくいことから、法務省民事局においては、現在、この記載例を改正することについて検討しているやに聞き及んでいますので、参考までに申し添えます。