Genmai雑記帳

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法定地上権:設定後の建築

法定地上権・判例4:抵当権設定後の建物の築造 - g-note(Genmai雑記帳)
昭和41(オ)647 建物収去土地明渡請求
昭和45年07月16日 最一小 判決
裁判要旨の要旨

 土地に対する抵当権の設定当時に〜建物が存在しなかつた場合〜、右抵当権と同一債権の担保を目的として重ねて右土地につき停止条件付代物弁済契約が結ばれた当時には〜債務者所有の建物が存在したときでも、右代物弁済契約の条件成就後の法律関係につき〜類推適用による法定地上権の成立を認めることはできない。

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(仮登記担保法施行前の判例

〜訴外Dが、昭和二四年一〇月〜訴外Eから〜土地に第一順位の抵当権を設定して〜円を借り受け、ついで昭和二六年三月〜、ふたたび右〜土地に第二順位の抵当権〜建物に第一順位の抵当権を各設定して〜円を借り受けたこと、

昭和二八年四月〜訴訟上の和解〜DはEに〜貸金債務の〜承認し〜月賦〜の履行遅滞停止条件として〜土地〜建物を〜債務の支払に代えて〜譲渡する旨の停止条件付代物弁済契約を結んだこと〜支払を怠つたため〜停止条件が成就し〜

その後昭和二九年二月〜被上告人が〜Eから〜土地を買い受けてその所有権を取得したこと

右士地所有権に基づいて、その地上にある〜(別)建物の所有権をDから〜Fを経て譲り受けたとしてその敷地部分を占有している上告人に対し〜建物〜収去〜敷地を明け渡すことを求める被上告人の本訴請求〜。

 〜Eは〜停止条件付代物弁済契約の締結に先き立ち〜同一債権を被担保債権とする第一および第二順位の抵当権の設定を受けていたものである〜が、かりにEにおいて右抵当権の実行をしたときは、〜建物所有者が法定地上権をもつて〜土地の競落人に対抗しうるためには〜設定当時に〜すでに右建物が土地と同じくDの所有に属するものとして存在していたことを要するところ〜かかる事実の主張はなく〜設定よりのち〜に至つて〜建築の着手があつたというのである〜
競落に伴う法定地上権の成立は、これを認めるによしなかつたのであり、したがつて、Eは、もともと、右建物を存置させるべき負担を伴わないものとして(一)の土地を換価しうる地位を有していたということができる〜。

そして〜Eは〜抵当権の実行によらず〜代物弁済契約の条件が成就し右土地が自己の所有に帰したとしてこれを他に処分することにより、債権の満足を得る方法をとつたものにほかならない〜、

してみれば、本件においては、停止条件付代物弁済契約締結当時には右土地・建物が同一所有者に属していたにせよ、民法三八八条の類推適用による法定地上権の成立は、所詮、これを認める余地がないものというべきである〜