平成23(行ト)42 文書提出命令申立て却下決定に対する特別抗告及び許可抗告事件
最三小 平成23年10月11日 決定
裁判要旨
弁護士会の綱紀委員会の議事録のうち「重要な発言の要旨」に当たる部分が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に該当するとされた事例
最高裁第三小法廷 平成23.10.11 平成23(行ト)42 文書提出命令申立て却下決定に対する特別抗告及び許可抗告事件・・・・原文
戒告の懲戒処分を受けた弁護士が、綱紀委員会の議事録などの文書提出命令の申立てをした事案
(抽出・加工あり)
〜作成目的,記載内容,〜所持するに至るまでの経緯,その他の事情から判断して,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書であって,
- 開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど,開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には,
- 特段の事情がない限り,
- 当該文書は民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると解するのが相当である(平成11年11月12日小法廷決定)。
〜特段の事情の存在のうかがわれない本件各文書は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるというべきである。
〜なお〜所持者が訴訟当事者以外の第三者である文書提出命令申立て事件において申立ての相手方となるのは,当該第三者であり,訴訟の相手方当事者ではない。〜当事者を誤った違法があるが〜結論に影響を及ぼすものではない。
民事訴訟法(抽出・加工あり)
(文書提出義務)
第二百二十条 次〜場合〜、〜所持者〜提出を拒むことができない。
- 一 当事者が〜引用した文書を自ら所持するとき。
- 二 挙証者が〜所持者に〜その引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
- 三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
- 四 前三号に掲げる場合のほか〜次に〜いずれにも該当しないとき。
- イ 〜所持者又は〜所持者と第百九十六条各号(証言拒絶権)に掲げる関係を有する者についての〜事項が記載されている文書
- ロ 公務員の職務上の秘密〜文書〜提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
- ハ 第百九十七条第一項第二号(証言拒絶権)に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
- ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
- ホ 刑事事件〜に関する書類〜少年の保護事件の記録〜文書