Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

東京高裁:譲渡後、未登記である間の固定資産税

昭和41(ツ)4 課税立替金等請求事件
昭和41年07月28日 東京高裁 第八民事部
裁判要旨の要旨

 〜所有権を譲渡しながら名義変更の手続をしなかつたため〜実質上の所有者とが異なるに至つた場合、〜固定資産税〜は、私人相互の関係においては、特別の合意等別段の事情のない限り、実質上の所有者がその所有期間に応じ日割をもつて、これを負担すべき〜。

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Jは昭和27年1月31日、AB両名の先代亡Cに売り渡し、
Cは同日これをDに売渡し、
所有権は〜同時に右各買主に移転した。

〜登記〜は昭和31年6月〜完了〜
Jは〜売渡の〜翌日である昭和27年2月1日〜昭和31年12月末日分までの固定資産税計金●円〜を〜市に納付

〜法が台帳の所有名義人を納税義務者と定めたのは〜事務処理の簡易明確を図るため〜台帳上の所有名義人を所有者とした趣旨に外ならない。〜右規定は、徴税技術の便宜のため、単に徴税団体との関係において〜定めたものにすぎない〜私人相互の内部関係において〜何人がこれを負担すべきかは〜右規定を参酌しつつ〜これとは別個に判断すべき

 〜所有者に変動を生じ〜実質上の所有者とが異なるに至つた場合〜固定資産税〜は、私人相互の関係においては、特別の合意等別段の事情のない限り、実質上の所有者がその所有期間に応じ日割をもつて、これを負担すべき〜

〜不当利得を原因として右金額の償還を求め得る〜


しまなみ法律事務所の寄井先生が紹介されておられた判決です。(寄居先生感謝)
【建築・不動産】 競売不動産の元所有者の買受人に対する固定資産税等の日割精算額の不当利得返還請求が否定された事例 大阪地裁平成23年2月7日判決: 田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)

 原審が不明ですので、どのように計算したのか良くわかりませんが、「昭和27年2月1日〜」からと記載されていることから、元々の請求そのものが、「1月1日基準の当年分の前払」扱い(いわゆる関東慣習?)として日割計算したのではないかと想像されます。
 
 この「慣習」について、触れて欲しかったですね。