Genmai雑記帳

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千葉地裁:とんかつ屋電話機リース契約のクーリング・オフ

全国消費生活相談員協会・[消費生活相談員のための判例紹介]

千葉地裁 平成21年(ワ)第1271号リース料返還等請求事件
内容

飲食店が締結した電話機リース契約について、クーリング・オフによる解除を認め、また契約後3年経過したクーリング・オフ行使にも「権利の濫用」とは言えないとして、リース会社に対して既払い金の返還を命じた判決。

全相協解説原文

とんかつ屋〜が、〜Y社の訪問〜勧誘により〜リース会社であるX社と〜電話機のリース契約を締結した〜
〜電話機が事業規模と比較してあまりに過大であるなどとして〜クーリング・オフによる解除〜リース代金の返還などを求めて提訴
クーリング・オフの理由は書面不備〜(契約書にクーリング・オフに関する記載が一切ない)。

被告主張

1.リース契約は指定役務には当たらないこと
2.〜原告からの要請に応じて訪問〜適用除外〜
3.〜事業者であるから、「営業のために若しくは営業として」契約が締結されたもの〜適用除外〜、
4.〜3年以上を経過したクーリング・オフは権利の濫用〜

判決

1.該当
2.〜メンテナンスの要望がないか〜連絡をしたところ〜「インターネットについて聞きたい」などと言われたために訪問〜
〜電話機の購入に直結するものではないから、「住居での取引を請求した者」には当たらず、〜適用除外には該当しない〜
3.
1)〜2階建ての〜1階部分の約3分の2に過ぎない〜
2)〜パート2名の他は親族が時折手伝う程度〜売上〜も過大ではない〜
3)原告が電話を利用するのは、月に1、2回、ビールを注文する程度〜、通話料が月数十円から数百円程度〜私用が大半〜番号も自宅と店舗を兼ねている〜
〜1台の子機は居住部分に置いてある〜、本件の〜は2回線で同時に通話したり複数台つなげたりパソコンやFAXなどと接続して通信設備を拡張するのに最適であるが〜FAXを利用しておらず、そのような仕様はまったく不要〜
→本件契約は個人用・家庭用になされたものであって、原告の営業のためになされたとは認めがたいとして〜クーリング・オフ〜を有効とした。

X社は〜契約書に〜屋号を記入〜、タウンページにも掲載〜リース料が〜経費に計上〜を争った。
判決は、「営業のため若しくは営業として」というには、〜契約の目的及びその内容を重視すべきであり〜使用目的〜営業の範囲と商品購入の性質などを考慮すべき〜とし
〜小規模ながら営業していることは事実としても〜電話機を商品とするわけではなく、営業の手段として当該電話機が有する有益性が希薄であるとして〜契約の形式的・外形的側面にかかる事項にとどまるに過ぎないとして排斥〜。
4.
1)契約書に〜クーリング・オフに関する記載が一切なく〜説明〜ない〜からやむを得ない〜
4)5年に及ぶ原告の使用利益はクーリング・オフによる当然の効果である〜
〜権利の濫用には当たらない〜