最高裁:動産売買の先取特権者による物上代位権
平成16(受)1271 売掛代金請求及び〜
平成17年02月22日 最三小 判決
裁判要旨
動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。
・DはEに商品を売り渡し,EはJに転売。
・Eは破産。
・EはJに対する債権をHに譲渡(破産管財人が裁判所の許可を得て)
- Jに内容証明郵便により債権譲渡通知。
・一方、Dは〜動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使として,本件債権の差押命令を申立て
- Jに送達された。
・HがJに支払を求めた。(Jは差押えられているので拒否?)
民法304条1項ただし書は,先取特権者が物上代位権を行使するには払渡し又は引渡しの前に差押えをすることを要する旨を規定している〜,抵当権とは異なり公示方法が存在しない動産売買の先取特権については,物上代位の目的債権の譲受人等の第三者の利益を保護する趣旨を含むものというべき〜。
動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない〜と解する〜。
(物上代位)
第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。
ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。(動産の先取特権)
第三百十一条 次に掲げる原因〜債務者の特定の動産について先取特権を有する。
- 一 不動産の賃貸借
- 二 旅館の宿泊
- 三 旅客又は荷物の運輸
- 四 動産の保存
- 五 動産の売買
弁護士の中山知行(横浜弁護士会所属)先生が紹介されておられましたので読んでみました。
(この先生の紹介判例は、興味を引くものが多く、どうしても、ここで取り上げる機会が多くなってしまいます。中山先生、本当に感謝)
http://d.hatena.ne.jp/kusunokilaw/20110825