Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:再転相続の放棄

昭和59(オ)787 第三者異議事件
昭和63年06月21日 最三小判
判決要旨抜き書き

 甲の相続につき〜乙が承認または放棄をしないで死亡したいわゆる再転相続において、乙の〜相続人丙は、乙の相続について放棄をしていない場合は、甲の相続について放棄することができ、かつ、甲の相続について放棄をした後乙の相続について放棄をしても、丙が先に再転相続人たる地位に基づいて甲の相続についてした放棄の効力は、遡及的に無効にはならない〜。

判決原文

〜九一六条〜は、甲の相続につきその法定相続人である乙が承認又は放棄をしないで死亡した場合には、乙の法定相続人である丙のために、甲の相続についての熟慮期間を乙の相続についての熟慮期間と同一にまで延長し、甲の相続につき必要な熟慮期間を付与する趣旨にとどまるのではなく、

−右のような丙の再転相続人たる地位そのものに基づき、甲の相続と乙の相続のそれぞれにつき承認又は放棄の選択に関して、各別に熟慮し、かつ、承認又は放棄をする機会を保障する趣旨をも有するものと解すべき〜。

〜そうであつてみれば、丙が乙の相続を放棄して、もはや乙の権利義務をなんら承継しなくなつた場合には、丙は、右の放棄によつて乙が有していた甲の相続についての承認または放棄の選択権を失うことになるのであるから、もはや甲の相続につき承認または放棄をすることはできないといわざるをえないが、

丙が乙の相続につき放棄をしていないときは、甲の相続につき放棄をすることができ、かつ、

甲の相続につき放棄をしても、それによつては乙の相続につき承認または放棄をするのになんら障害にならず

−また、その後に丙が乙の相続につき放棄をしても、丙が先に再転相続人たる地位に基づいて甲の相続につきした放棄の効力がさかのぼつて無効になることはない〜。

 かつて、再転相続を調べた時(再転相続の恐怖・知らぬ間の単純承認 - Genmai雑記帳に知った判例です。
 そのしばらく後、「相続の承認・放棄の実務」(新日本法規)を購入したところ、最高裁判例をはじめ、正面からこれを判断したと思われる判例は、まだない(?)ものの、『判例は〜民法916条の「相続の開始」は自己が被相続人の再転相続人となったことを知ったときと解しているものと思われる。』と言う記述がありました。

 解説の流れから言うと、判例の「傾向は」と言うふうにも読め、個々の事件については、あくまで裁判官の判断によると言うことになると思われますが、記憶に残りました。

 今般、この本を読み直すことがあり、久しぶりにこの判例を見かけましたのでup致しました。

やっと、最高裁判決が出ました。
最高裁:再転相続「知った時」 - Genmai雑記帳