Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:破産管財人による敷金充当合意と敷金質権者

平成17(オ)184 不当利得返還請求事件
平成18年12月21日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 破産管財人が〜賃貸借契約を合意解除〜未払賃料等に敷金を充当する旨の合意〜,敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合〜,〜この点について〜学説や判例も乏しかったことや〜破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人を悪意の受益者であるということはできない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〜破産会社は〜各銀行〜に対し〜担保として〜敷金の返還請求権〜に〜質権〜を設定〜Bは〜確定日付のある証書〜設定を承諾〜。

破産管財人〜は〜賃貸借を〜合意解除〜敷金〜を〜賃貸借〜債権に充当〜合意〜
〜破産財団には〜合意解除された平成〜日現在で〜銀行預金が存在した。

〜質権が無価値となって〜優先弁済権が害され〜不当利得の返還〜損害賠償を求めた〜

最高裁

 質権設定者は〜担保価値を維持すべき義務を負い,債権の放棄,免除,相殺,更改等当該債権を消滅,変更させる一切の行為その他〜担保価値を害するような行為を行うことは,同義務に違反するものとして許されない〜
〜不当利得〜返還〜義務を負う〜

原審は〜不当利得返還請求〜悪意の受益者であることを前提に〜年5分の割合による利息の支払を命じた。

民法704条の「悪意の受益者」とは,法律上の原因がないことを知りながら利得した者〜
 上告人の利得が法律上の原因を欠くことになるのは〜破産財団の減少を防ぐことに正当な理由があるとは認められず,本件行為が質権者に対する義務に違反するからであるが,

−上記正当な理由があるか否かは,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題〜,

−この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや〜本件行為〜につき破産裁判所の許可を得ている〜ことを考慮すると,

−〜正当な理由のないこと,すなわち法律上の原因のないことを知りながら本件行為を行ったということはできず〜悪意の受益者であるということはできない〜

(2016.02.28改記)
追記
研修:「借地借家法」(山内鉄夫先生)でも引用されていました。
研修:「借地借家法」・引用判例等