Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

和歌山地裁:簡裁代理権・個別債務額説判決

簡裁代理権の範囲について、地裁判決が出ております。
(抽出・加工あり)

 〜債務整理を依頼した司法書士に対し〜代理権がないのに業務を行ったなどとして計400万円の損害賠償を求めた〜和歌山地裁〜。

〜「訴額140万円以内」について〜「個々の債務ごとに考えるべきで、〜総額説は採用できない」と指摘。〜減額し約120万円の支払いを命じた。

 〜03年の法改正で〜額の解釈を巡って、日弁連は債務者〜の「借入総額」、日司連は「借入先ごとの個別債務額」と、見解が分かれている。

 〜「借入総額が140万円を超え〜本来、受任できなかった」と主張。司法書士側は「個別債務が140万円以内なら受任できる。それ以外は書類作成だけ」と反論〜。

 〜裁判長は「相談者は個々の債務ごとに訴えを提起するのが基本で、個々の相談者の債務ごとに考えるべきだ」として「総額説」を退けた。ただ、一部の受任案件については〜代理権の範囲外だったとして、賠償を命じた。

 日弁連の業際・非弁問題等対策本部長代行の高中正彦弁護士は「想定した権限を拡大解釈しており、立法趣旨に反している」とコメント。〜(毎日新聞

 長く、この仕事をしていると、時代とともに行政機関の見解が変わっていくのにぶつかって、驚くことが良くありますが・・・。

 何度も書いてきましたが、当時、私たちなどは、ほしくてもらった簡裁代理権ではありませんでした。

 大量の多重債務者がいて、毎週毎週、相談にくるような時代で、なんとか書類作成などだけで支援していたところに、たまたま司法制度改革の方向が重なった結果、こう言う形になったのなのだと思います。
 弁護士はほとんどいないし、たまたま依頼しても一部の弁護士以外は、今から見るとかなり高額な報酬が必要でした。
 悪徳商法などの消費者被害もどんどん増えて、同様の状況が生まれつつありました。(一方で、登記は激減して行った時代でもありました。)

 私が合格した、昭和の時代には、(正確かどうかは不明ですが、)毎年の登録者は、弁護士400名、司法書士400名と言う話しもありました。隔世の感があります。

 「立法趣旨」を言うなら、下記を読んでほしいと思います。
翻弄される司法書士 - g-note(Genmai雑記帳)
当時は、国会で鳴り物入りで導入された制度であり、実際にここまで弁護士が増えるまでは、「見解の相違」など聞いたことはありませんでした。

(もっとも、読み直してみると、これを書いた3年前と比べても、弁護士の世界も、司法書士の世界も、かなり変わってきたように思いました。)

最高裁判決がでました。
★最高裁:債務整理事件における簡裁代理権の範囲 - g-note(Genmai雑記帳)