Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:「反対株主の買取請求」と「全部取得条項付株式の取得価格の決定請求」

平成23(許)7 株式買取価格決定〜
平成24年03月28日 最二小決
裁判要旨

2 〜116条1項に基づく株式買取請求をした株主が〜株式を失った場合は〜117条2項に基づく価格の決定の申立ての適格を欠くに至り〜不適法になる

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文

(以下、抽出加工あり。原文参照。また、振替株式云々については、あまり興味がありませんのでカットし、「定款変更に対する反対株主の買取請求」と「全部取得条項付株式の取得価格の決定請求」の部分のみ抽出しました。)

(4) 〜抗告人〜は,平成21年7月〜172条1項に基づき〜全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをし〜た〜。
(5) 抗告人〜は,平成21年7月〜116条1項に基づき〜株式〜を公正な価格で買い取ることを請求し〜た〜。

(7) 平成21年8月〜定款変更の効力が生じ〜全部取得条項付種類株式の全部を取得した。
(8) 抗告人らは,平成21年9月〜117条2項に基づき,本件買取価格の決定の申立てをした。

原審

〜本件買取請求は〜全部取得条項付種類株式となったことを前提とする〜取得価格決定の申立てと相矛盾する〜却下〜。

最高裁

 〜172条1項が全部取得条項付種類株式の取得に反対する株主に価格の決定の申立て〜を認めた趣旨は,その取得対価に不服がある株主の保護を図ることにある〜,
〜他方〜116条1項が反対株主に株式買取請求を認めた趣旨は,当該株主に当該株式会社から退出する機会を付与することにある〜
−〜取得対価に不服を申し立てたからといって〜退出する利益が否定されることになるものではなく〜したがって〜取得価格決定の申立てをしたことを理由として〜買取請求が不適法になるものではない。

 しかしながら,〜株式買取請求がされたが,その代金支払までの間に〜全部取得条項付種類株式とする旨の定款変更がされ〜取得日が到来すれば,同株式について取得の効果が生じ〜株主は,同株式を失う〜。

株式買取請求をした株主が同請求に係る株式を失った場合は,当該株主は同申立ての適格を欠くに至り,同申立ては不適法になるというほかはない。

〜抗告人らは〜株式を失ったのであるから〜適格を欠くに至り〜不適法〜。

会社法

(反対株主の株式買取請求)
第百十六条  次の各号〜反対株主は〜株式を公正な価格で買い取ることを請求〜できる。
二  ある種類の株式の内容として第百八条第一項〜第七号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 第百十一条第二項各号に規定する株式

(異なる種類の株式)
第百八条 〜内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。〜
 七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。

(裁判所に対する価格の決定の申立て)
第百七十二条 〜株主は〜株主総会の日から二十日以内に、裁判所に対し〜全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをすることができる。