Genmai雑記帳

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最高裁:不実の抵当権設定仮登記と横領罪

平成20(あ)2253 電磁的公正証書原本不実記録〜横領〜
平成21年03月26日 最二小決
裁判要旨の抜き書き(原文参照)

 甲〜乙及び丙に順次譲渡されたものの〜移転登記が未了のため甲〜が〜所有名義人であった建物を〜丙のために預かり保管していた被告人が〜不実の抵当権設定仮登記を了した場合には,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立する。

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(抽出・加工あり。原文参照)

 〜B会のために預かり保管中〜共謀〜登記簿上の名義人が〜Aであることを奇貨とし〜原状回復にしゃ口して解決金を得ようと企て,真実は,AがE会から5億円を借り受ける金銭消費貸借契約を締結した事実並びにその担保として〜抵当権設定契約を締結した事実がないのに〜抵当権設定仮登記の登記申請書等関係書類を提出〜記録をさせ〜閲覧できる状態にさせ,もって,公正証書の原本〜電磁的記録に不実の記録をさせ〜供用するとともに,本件建物を横領〜。

〜預かり保管していたところ〜共謀の上,金銭的利益を得ようとして本件仮登記を了した〜。仮登記を了した場合,それに基づいて本登記を経由することによって仮登記の後に登記された権利の変動に対し,当該仮登記に係る権利を優先して主張することができるようになり,これを前提として,不動産取引の実務において,仮登記があった場合にはその権利が確保されているものとして扱われるのが通常〜。

〜不実とはいえ,本件仮登記を了したことは,不法領得の意思を実現する行為として十分〜,横領罪の成立〜。〜このような場合に,同罪と上記電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪が併せて成立することは,何ら不合理ではない〜(〜観念的競合〜)。