Genmai雑記帳

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最高裁:時効完成後、登記前の抵当権登記・再度の取得時効

平成22(受)336 第三者異議事件
平成24年03月16日 最二小判
裁判要旨の抜き書き

 〜取得時効完成後〜移転登記がされない間に〜原所有者から抵当権の設定を受け〜登記を了した場合,占有者が抵当権の存在を容認していたなど特段の事情がない限り,再度の取得時効により抵当権は消滅する

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(抽出・加工あり。原文参照)

(1) Aは〜換地〜前の従前〜地〜を所有〜。〜昭和45年3月,Hに〜売却〜,登記はされなかった。Hは〜占有を開始〜。
(2) Aの子〜Bは〜相続〜移転登記〜。〜昭和59年4月〜本件抵当権〜設定〜登記〜。
〜Hは〜設定登記時〜土地を所有すると信ずるにつき善意かつ無過失〜。
(3)〜抵当権の実行〜開始決定〜。
(4)〜Hは,平成20年8月〜Bに対し〜取得時効を援用〜。

〜所論〜,時効取得者は,抵当権〜ある不動産を取得するにすぎない〜時効の援用により本件抵当権は消滅するとした原審〜違法〜。

最高裁

4(1)〜取得時効の完成後に抵当権の設定を受け〜登記をした者との関係〜対抗問題〜。
−しかし〜時効の完成後〜移転登記〜のないまま,第三者が〜設定登記を了した場合〜その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは〜抵当権の存在を容認していたなど〜特段の事情がない限り〜不動産を時効取得し,その結果,上記抵当権は消滅する〜

(理由)

ア 〜その後にいかに長期間占有を継続しても抵当権の負担のない所有権を取得することができないと解することは,長期間にわたる継続的な占有を占有の態様に応じて保護すべきものとする時効制度の趣旨に鑑みれば,是認し難い〜。

イ 〜時効の完成後〜移転登記〜前に,第三者に〜譲渡され〜登記がされた場合〜,登記後〜なお引き続き時効取得に要する期間占有を継続したときは〜登記なくして時効取得を対抗し得る〜(〜昭和34年(オ)第779号同36年7月20日一小判〜),

−〜時効の完成後〜移転登記〜前に,第三者が〜抵当権の設定〜登記がされた場合〜,占有者は〜時効取得した不動産につき抵当権による制限を受け〜実行されると〜所有権の取得自体を〜対抗することができない地位に立たされる〜,
−〜上記登記がされた時から〜権利の対立関係が生ずる〜,三者に譲渡〜登記がされた場合に比肩するということができる

−〜上記判例によれば〜時効の完成後に〜引き続き占有を継続した場合に,所有権を失うことがあり,それと比べて〜抵当権の設定を受けた第三者が〜保護されることとなるのは,不均衡〜。

〜抵当権の設定登記の日を起算点として〜時効取得〜その結果〜抵当権は消滅〜。

(補足意見あり。)

 この判決については、いつもどおり、浅学な私などは、「なるほど、なるほど」などと思ってしまいましたが、ボ2ネタに「?コメント」が出ております。
2012-03-19 - ボ2ネタ [ボ2]
 また、内藤先生も取り上げておられました。
抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅 - 司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

 これらについては、今後、少し見てみたいと思います。

寄居先生も取り上げておられます。
【金融・企業法務】 再度の取得時効と抵当権の消長: 田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)

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