Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

名古屋高裁:葬儀費用、埋葬費用の負担者

平成23(ネ)968 貸金返還等請求控訴事件
平成24年03月29日 名古屋高裁民3
判示事項の要旨

 葬儀に要する費用については同葬儀を主宰した者が負担し,そのうち埋葬等の行為に要する費用は祭祀主催者が負担するものとされた事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文

(1)E死亡、相続人は,長男A(被控訴人)、二男C(被控訴人)。
B(控訴人)、D及びEは兄弟〜。
(2)Bは,喪主として〜葬儀等を主宰し〜葬儀費用等〜を支出。

3 控訴人らの主張

  • (ア)、(イ) 略
  • (ウ) 〜負担者は葬儀の主宰者であるとする見解〜によっても〜生前に自己の葬儀に関する債務を負担していた等の特別の事情がある場合には,相続人が葬儀費用を負担すべきであるとされている。すなわち,生前に〜自らが自己の財産から葬儀に関する費用を支出することを希望しており,その意思が明らかにされていたとの事情があった場合には,葬儀を主宰した者が,相続財産・遺産から同費用が捻出されるものであると期待することは自然であるからである。〜

第3 当裁判所の判断〜

ア EとF(死亡)は〜夫婦〜被控訴人らをもうけたが,昭和62年以前に〜別居〜以後〜被控訴人らと会うこともなかった。
エ〜喪主をするよう要請されたが,Cはこれを断った。そこでBが〜喪主を務めた。

(2) 〜葬儀費用とは,死者の追悼儀式に要する費用及び埋葬等の行為に要する費用(死体の検案に要する費用,死亡届に要する費用,死体の運搬に要する費用及び火葬に要する費用等)と解されるが,亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず,かつ,亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては,追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者,すなわち,自己の責任と計算において,同儀式を準備し,手配等して挙行した者が負担し,埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当〜。]

 なぜならば〜主宰者がその責任において決定し,実施するものであるから〜主宰する者が〜負担するのが相当〜,他方,遺骸又は遺骨の所有権は,民法897条に従って慣習上,死者の祭祀を主宰すべき者に帰属〜(最高裁平成元年7月18日三小判〜)〜費用も祭祀を主宰すべき者が負担すべき〜

 〜祭祀を主宰すべき者〜民法897条1項〜慣習に従って定められるべきもの〜二人の子があるものの〜20年以上も親子の交渉が途絶えていた状況〜兄弟〜との間に比較的密な交流があった〜,〜結局,本件における証拠をもってしては〜慣習は明らかでない〜。〜家庭裁判所で〜祭祀承継者が定められない限り〜定まらない〜。

(3) 〜Bは,葬儀費用は相続財産・遺産から支出されることが予定されている(民法306条,309条)〜と主張〜。
 しかし〜葬儀の費用が先取特権になる旨を規定したものにすぎず〜

 また〜相続人である被控訴人らが,葬儀費用を負担すべきであると主張〜。
 しかし,葬儀費用は,相続開始後に生じた債務〜。

 〜Bは,亡Eは〜自分が死亡した際には,葬儀費用等は自らの年金から支出することができるため〜迷惑がかかることはないと常々述べていたと主張〜。
 しかし〜Eより年金支払通知書と受給証書の提示を受けていた〜としても,同事実を推認しうるものとは言い難く

 棄却