Genmai雑記帳

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最高裁:相続人の新権原による時効取得

昭和44(オ)1270 所有権移転登記手続等本訴〜
昭和46年11月30日 最三小判
裁判要旨

 〜被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも〜「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべき〜。

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(抽出・加工あり。原文参照)

 〜訴外Dは〜兄Hから〜管理を委託されたため〜建物の南半分に居住し〜土地および〜建物の北半分の賃料を受領していた〜、Dは〜死亡、〜その後も、Dの妻A1において〜南半分に居住〜賃料を受領〜、Hもこの事実を了知していた〜。

 〜A2〜A3が、D死亡当時〜6才および4才〜A1はその母であり親権者であつて〜A2および同A3も〜A1とともに本件建物の南半分に居住〜。

 〜死亡により〜占有を相続により承継したばかりでなく、新たに本件土地建物を事実上支配することによりこれに対する占有を開始したものというべく、したがつて、かりに上告人らに所有の意思があるとみられる場合においては〜死亡後民法185条にいう「新権原ニ因リ」本件土地建物の自主占有をするに至つたものと解する〜。

〜しかしながら〜管理を委託された関係もあり、同人の遺族として生活の援助を受けるという趣旨で特に許されたためであり、右上告人は〜年までHに〜南半分の家賃を支払つており〜所有の意思を有していたとはいえない〜

民法

(占有の性質の変更)
第百八十五条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

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