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大阪高裁:相続を新権原とする時効取得

平成元年(ネ)2323 建物所有権確認等請求控訴事件
平成03年02月28日大阪高
判示事項

相続を新権原とする自主占有を認め、10年の所得時効を肯定した事例

大阪高判平成元年(ネ)2323原文

(抽出・加工あり。原文参照)
第三 当裁判所の判断

二(死因贈与〈主位的請求〉について)
 M子が(亡)Tに対し〜死因贈与した旨の〜主張〜〜棄却〜。
三(予備的第一請求について)
 〜死因贈与があったとの事実は認められないのであるから〜Tの占有は所有の意思のない他主占有〜Tの占有を前提とする時効取得の主張〜は理由がない〜棄却〜

四(予備的第二請求について)
 〜父Tが〜死亡したことにより〜占有を承継したのみでなく、自ら本件建物に居住しこれを現実に支配し占有を始め、その後10年以上にわたり平穏かつ公然に同建物の占有を継続していた〜、
−Tの財産のすべてを〜控訴人が相続することにつき相続人間で異議はなく、〜相続分がない旨の証明書を作成提出している〜、
−控訴人は当時〜Tの相続財産に属するものと信じていた〜、
−Tは〜敷地を〜買い受けて所有権移転登記を了し、控訴人は相続〜所有権移転登記を了している〜
−M子の養女であって〜承継した被控訴人が〜所有権を主張したり家賃の請求をしたことは〜までは全くなかった〜
−Tの死後は控訴人が〜固定資産税を納付〜修理を〜行い〜損保契約を自己の名で締結し保険料を負担〜、
−T及び控訴人は甲野家の〜祭祀財産を承継〜M子らの法要を営んできた〜。

 〜控訴人は、Tの死亡により同人の相続財産の全部を相続して本件建物の占有を承継したのみでなく、自ら同建物に居住しこれを現実に事実上支配して占有を開始したものであり〜Tの占有には所有の意思がないものであっても、控訴人の占有は所有の意思がある自主占有であると認めるのが相当〜民法一八五条にいう「新権原」により所有の意思をもって占有を始めたものというべき〜

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