Genmai雑記帳

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最高裁:仮差押命令と本案の債権の相違

平成23(受)268 配当異議事件
平成24年02月23日 最一小判
裁判要旨

 仮差押命令は〜表示された被保全債権と異なる債権についても〜請求の基礎を同一にするものであれば,その実現を保全する効力を有する

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(抽出・加工、かなりあり。原文参照)

(1)上告人の申立て〜AがBに対して有する〜請求権〜につき〜債権仮差押命令〜が発令〜送達〜。
               記
A〜が〜根抵当権〜建物を取り壊すことにより,上告人の〜根抵当権を侵害した〜,上告人が〜有する〜不法行為に基づく損害賠償請求債権〜

(2)Aが〜仮差押解放金額〜の供託〜仮差押命令〜を取り消す旨の決定〜仮差押命令の執行の効力は,供託金の取戻請求権〜の上に移行〜。

(3)上告人は〜Aほか〜を被告とする(本案)訴訟〜を提起〜,
〜1) 主位的請求〜,〜Aが〜無断で〜建物を取り壊し〜根抵当権を侵害〜貸金債権を回収〜困難になった〜不法行為に基づき〜貸金〜相当額を含む〜損害の賠償〜支払を求め,
〜2) 予備的請求〜,本件貸金債権に基づき〜支払を求めた

(4)(別途、)被上告人の申立て〜本件供託金取戻請求権につき〜債権差押命令が発令〜送達〜。
(5)〜差押えが競合〜東京地裁は,〜配当表〜作成〜。
(7)(一方)本件本案訴訟において〜主位的請求を棄却〜予備的請求を認容する控訴審判決が〜確定〜。
 上告人が〜「本件配当表」〜の変更を求める配当異議〜。

原審

(1) 〜本案訴訟において〜仮差押命令の被保全債権〜の存在を否定する判決が確定〜配当を基礎付ける債権が存在しなかったことになり〜訴えの利益がない。
(2) 〜予備的請求〜が認容されているが〜仮差押命令の効力が維持されることにはならない。
(3) 〜仮差押命令の被保全債権と〜本案訴訟〜貸金債権が同一の客観的事実に基づくものであるときは,〜仮差押命令の効力が維持されると解する余地があるとしても,上記各債権の発生の日時,場所,行為内容等からみれば〜同一の客観的事実に基づくものと解することもできない。

最高裁

 保全命令は〜緊急かつ必要の限度において発令〜一定の権利関係を疎明する資料についても制約がある〜考慮すると,仮差押命令は〜表示された被保全債権と異なる債権についても〜被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば,〜保全する効力を有する〜〜(最高裁昭和〜26年10月18日第一小〜)。
−〜債務名義を取得した仮差押債権者は,債務名義に表示された金銭債権が仮差押命令の被保全債権と異なる場合であっても,上記の金銭債権が上記の被保全債権と請求の基礎を同一にするものであるときは,仮差押命令の目的財産につき他の債権者が申し立てた強制執行手続において,仮差押債権者として配当を受領し得る地位を有している〜。

 〜事実関係等によれば〜仮差押命令の被保全債権〜損害賠償債権は〜Aが〜上告人に無断で担保物件を取り壊したことにより〜貸金債権の回収が困難になり〜貸金債権相当額を含む損害を被ったことを理由とするものであるから〜本件貸金債権の発生原因事実は,本件損害賠償債権の発生原因事実に包含されていることが明らか〜。
−〜請求の基礎を同一にする〜
〜訴えの利益がある。