Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:子会社から親会社への債権譲渡の場合の過払金債務の承継

平成24(受)539 不当利得返還請求事件
平成24年06月29日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 〜Yの完全子会社Aが,Yの子会社再編を目的とする債権譲渡基本契約に基づき,Aの顧客Xとの間の継続的な金銭消費貸借取引に係る債権をYに譲渡したからといって,YがAのXに対する過払金返還債務を承継したとはいえない〜事例

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(1)上告人は,Aとの間で〜継続的な金銭消費貸借取引を行った(〜第1取引〜)。〜過払金が発生〜。

(2)被上告人は〜子会社の再編を目的として〜基本合意書を取り交わし,Aが〜有する〜債権を被上告人に移行し,Aの貸金業を廃止することとした。
 〜債権移行を勧誘する顧客は,被上告人及びAの協議により定めるものとし〜希望する顧客との間で,被上告人が〜基本契約を締結することなどを定めた〜,上告人は〜締結することはなかった。

(3)〜被上告人は〜上記〜基本契約を締結していない顧客に係る貸付債権であって別途特定するものをAから譲り受ける旨の合意〜。「過払金等返還債務」〜については,被上告人が併存的に引き受ける旨の〜債務引受条項〜がある。〜貸主としての地位自体〜移転する旨又は〜過払金等返還債務が当然に被上告人に承継される旨を定めた条項はない。

(4)〜譲渡〜通知を受けた上告人は,被上告人に対し〜弁済をするとともに〜被上告人との間で,新たに〜基本契約を締結〜。この基本契約は〜上記弁済に係る取引により過払金が発生していれば,当該過払金を同基本契約に基づく取引に係る借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった。

(5)被上告人とAとは〜債務引受条項を変更し,過払金等返還債務につき,Aのみが負担し,被上告人は〜何らの債務及び責任を負わないことを内容とする契約〜を締結〜。

〜何が譲渡の対象であるかは〜合意の内容いかんによる〜契約上の地位が〜当然に移転するものではなく,また〜過払金返還債務を当然に承継するものでもない(〜平成22年(受)第1238号〜(オ)第1187号同23年3月22日三小判〜,平成22年(受)第1405号同23年7月8日二小判〜)。

 〜基本契約には,契約上の地位の移転や過払金等返還債務の当然承継を定める条項はないというのであるから〜。

債務引受条項は,譲渡債権に係るAの顧客を第三者とする第三者のためにする契約の性質を有するところ,本件変更契約の締結時までに,上告人は〜弁済をした以外には,第1取引に係る約定残債権につき特段の行為をしておらず,上記弁済をしたことをもって〜受益の意思表示をしたものとみる余地はない。
 〜債務引受条項は,上告人が受益の意思表示をする前にその効力を失ったこととなり〜債務引受条項に基づき〜過払金等返還債務を引き受けたということはできない。

 〜平成23年(受)第516号同年9月30日二小判〜は,〜被上告人が〜基本契約を締結することを勧誘するに当たって〜債権を全て承継し,債務を全て引き受ける旨〜と解するのが合理的〜,顧客も〜を前提に〜勧誘に応ずる旨〜と解される場合につき判断したものであり〜本件とは,事案を異にする〜。

 〜過払金等返還債務を承継したとはいえない。承継を否定することが信義則に反するともいえない

 頭の悪い私の流し読みですので、不正確な理解に基づく、いい加減な見方ですが、
(4)との関係において、信義則違反と言えなくもないように思うのですが???