Genmai雑記帳

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最高裁:転貸賃料への物上代位

平成平成11(許)23 債権差押命令に対する執行抗告棄却〜
平成12年04月14日 最二小決
裁判要旨

 抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。

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(抽出・加工あり。原文参照)
原審

 〜三七二条によって準用される同法三〇四条一項により、抵当権者は物上代位権を行使することができる〜、同項に規定する「債務者」には〜設定者〜第三取得者〜のほか〜賃借した者も含まれると解すべき〜

最高裁

〜三〇四条一項に規定する「債務者」には、原則として、抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれない〜

〜所有者は〜抵当不動産をもって物的責任を負担するもの〜賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはない〜文言に照らしても〜「債務者」に含めることはできない。

〜できるとすると、正常な取引により成立した〜転貸借関係における賃借人(転貸人)の利益を不当に害する〜

もっとも、所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には〜許すべきものである。

 抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない

(物上代位)
第三百四条  先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

 kanzaiの日記様がこれを含めた物上代位の判例解説などについて、2012-03-31でアップしておられましたので、読んでみました。(いつも大感謝)

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