Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:債権譲渡と物上代位の優劣

平成9(オ)419 取立債権
平成10年01月30日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 〜物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文

(抽出・加工あり。原文参照)
原審

〜差押えを必要とする趣旨〜、差押えによって〜債権の特定性を保持〜物上代位権の効力を保全〜、第三者が不測の損害〜防止〜、この〜趣旨に照らせば、払渡し又は引渡しの意味は債務者〜の責任財産からの逸出と解すべき〜、債権譲渡も払渡し又は引渡しに該当〜

最高裁

1 〜払渡し又は引渡しの前に差押えをすることを要するとした趣旨目的は、
−〜第三債務者〜は〜債権者である〜抵当権設定者〜に弁済をしても〜抵当権者に対抗できないという不安定な地位に置かれる〜
−差押えを物上代位権行使の要件とし、〜
差押〜送達〜前には抵当権設定者に弁済をすれば足り〜抵当権者にも対抗〜できることにして、二重弁済〜危険から第三債務者を保護する〜点にある〜。

2 〜趣旨目的に照らすと、同項の「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる〜。
 けだし、
(一)三〇四条一項〜当然には債権譲渡を含むものとは解されない〜抵当権の効力が〜及ばなくなる〜理由もない〜、
(二)〜譲渡〜後に〜物上代位権〜の差押えをした場合〜、第三債務者は〜送達〜前に債権譲受人に弁済した債権については〜抵当権者に対抗することができ、弁済をしていない債権〜供託すれば免責される〜譲渡後〜物上代位〜を認めても第三債務者の利益が害されることとはならず、
(三)〜物上代位の〜及ぶことは抵当権設定登記により公示されている〜、
(四)対抗要件を備えた債権譲渡が物上代位に優先するものと解するならば、抵当権設定者は〜差押えの前に債権譲渡をすることによって容易に物上代位権の行使を免れることができる〜抵当権者の利益を不当に害する〜
−以上の理は〜差押えの時点に〜譲渡〜債権の弁済期が到来しているかどうかにかかわりなく、当てはまる〜。

・・・・物上代位による差押をした場合については、「供託」する必要があると言うことなのでしょうか???

 kanzaiの日記様がこれを含めた物上代位の判例解説などについて、2012-03-31でアップしておられましたので、読んでみました。(いつも大感謝)

上記の解説の中で、kanzaiの日記様は、「〜物上代位を主張する者は、自ら当該請求権に対する差押えを要件とする(最二小判平成10.1.30)〜」と書いておられます。

【関連判例等の整理】
★判例等:物上代位に関する判例・記事(随時更新) - g-note(Genmai雑記帳)