Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:受託拒否

平成15(受)709 損害賠償請求事件
平成16年06月08日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 〜司法書士が〜払下げを〜原因として〜移転登記を受けた会社から売主に対して真正な登記名義の回復を登記原因として所有権移転登記がされていること
−並びに上記会社と商号及び本店所在地を同じくする株式会社が時期を異にして2社存在した事実がうかがわれること
−のみを理由に〜決済日の当日になって,突然〜実体的所有関係を確定することができず〜所有権が買主に移転するとは限らない旨を述べ,上記嘱託を拒んだことには,正当な事由〜いえない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

 (3) 〜閉鎖登記簿〜には〜市からGに対して「払下」を〜原因〜移転登記がされた後GからH建設に〜「売買」を〜原因〜移転登記がされ〜同登記が「錯誤」を〜原因として抹消された上でGからIに〜「真正な登記名義の回復」を〜原因〜移転登記がされ〜合筆され〜Iから被上告人に変更する旨の登記〜。

 (4) 上告人は〜決済〜日〜事前の予告,説明もなく,突然に〜実体的所有関係を確定することができず〜所有権がEに移転するとは限らない〜嘱託を受けることはできない旨を述べた。
 (5) 〜上記発言を聞いたEは〜専門家である司法書士が〜嘱託を拒むような物件を買うことはできない〜解除〜申し入れ,被上告人は〜手付金200万円を全額返還〜。

3 司法書士法(〜改正前〜)〜業務の性質,内容等にかんがみ,司法書士は,正当な事由がある場合でなければ上記業務に係る嘱託を拒むことができないものとされており(同法8条)〜

司法書士主張

 〜「払下」は,税務署の公売又は裁判所の競売による売却と同視できる〜「払下」を〜原因として〜移転登記を受けたGからIに対して「真正な登記名義の回復」を〜原因として〜移転登記がされているのは不自然〜,
−また,商号〜Gとし,本店〜を〜番地とする株式会社が時期を異にして2社存在したことがうかがわれる〜市から〜移転登記を受けた〜Gと〜Iに〜移転〜を了した〜Gとの同一性には疑問〜確認〜困難〜,
−〜実体的所有関係を確定することができず,本件〜契約によって〜所有権がEに移転するとは限らない〜。

最高裁判断

〜「払下」は,公売や競売等の公法上の処分がされた場合とは異なり,市町村が所有する普通財産を〜売り払った場合の〜原因〜,〜私法上の売買〜,GからIに〜「真正な登記名義の回復」を〜原因〜移転登記〜,特段,不自然であるということはできない。
−そして,司法書士〜は〜,特段,不自然なものではないことを,容易に理解し,認識することができたものというべき〜。

〜また〜商号〜G〜本店所在地を前記の場所とする〜2社存在したとしても,この事実のみから,直ちに〜「払下」〜を受けたGとIに〜移転〜を了したGとの同一性を疑うに足りる相当の理由があるとまでいうことはできない。
〜仮に〜懸念を持ったとしても〜懸念を伝えて〜説明や商業登記簿謄本等の資料の提出を求めるなどの調査,確認もせずに〜2社存在した事実のみに基づき〜実体的所有関係を確定することができず〜所有権がEに移転するとは限らないと判断したことは合理性を欠く〜。
−現に〜払下げがされた時点〜移転登記〜された時点〜に至るまで〜,商号変更又は本店移転の登記をしたことはなく〜同一性の点は,優に肯認し得る〜,
−〜調査,確認をさえしていれば〜懸念は,容易に解消することができたものというべき〜。

〜決済日の当日になって,突然〜実体的所有関係を確定することができず,本件〜契約によって〜所有権がEに移転するとは限らない旨を述べ,これを理由に本件嘱託を拒んだことには正当な事由があるとはいえない〜嘱託の拒否及び〜発言は,いずれも違法〜

http://d.hatena.ne.jp/kusunokilaw/20120608が取り上げておられましたので、読んでみました。