Genmai雑記帳

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最高裁:損害回避可能期間の損害

(2009-01-22分の改記)
平成19(受)102 損害賠償請求本訴,建物明渡等請求反訴事件
平成21年01月19日 最二小判
判示事項

 〜賃貸人の修繕義務の不履行により〜損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降〜損害のすべてが〜通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

(4) 平成9年2月12日〜床上30〜50cmまで浸水〜17日にも〜出水〜営業ができなくなった。
(5) (賃貸人)Yは,平成9年2月18日付け書面〜老朽化等を理由〜貸借契約を解除〜の意思表示〜。
(7)〜平成10年9月〜本訴〜提起〜
(8)〜被上告人は〜カラオケセット等の損傷に対し〜保険金として3109万6946円,臨時費用保険金として500万円,取片付費用保険金として101万9700円の支払を受けた〜営業利益損失に対するものは含まれていなかった。

原審

〜解除の意思表示は〜無効〜損害賠償請求を一部認容〜。
(1)〜事故後も〜使用収益させるため〜修繕義務を負担している〜
(2)〜事故の日の1か月後である平成9年3月〜から〜終期である平成13年8月〜までの4年5か月間の得べかりし営業利益3104万2607円(1年間702万8515円)を喪失〜

最高裁

〜すべて〜請求する権利があるとする〜判断は是認〜できない。
(1) 〜賃貸人の債務不履行により〜賃借人に生じた営業利益喪失の損害は,債務不履行〜通常生ずべき損害として民法416条1項により〜賠償を求めることができる〜
(2) 〜
・平成4年9月ころから〜浸水が頻繁〜原因が判明しない場合も多かったこと,
・〜建築から約30年が経過〜老朽化による大規模な改装とその際の設備の更新が必要とされていたこと,
・〜平成9年2月18日付け書面〜老朽化等を理由に本件賃貸借契約を解除〜意思表示〜,被上告人は〜事故から約1年7か月が経過〜本件本訴を提起したこと,

−修繕〜したとしても,老朽化して大規模な改修を必要としていた本件ビルにおいて〜賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。
−〜事故から約1年7か月を経過〜本訴が提起された時点では〜営業の再開は〜実現可能性の乏しいものとなっていた〜
−本件店舗部分以外の場所では行うことができないものとは考えられない〜カラオケセット等の損傷に対し,合計3711万6646円の保険金の支払を受けている〜これによって〜再びカラオケセット等を整備するのに必要な資金の少なくとも相当部分を取得した〜。

〜遅くとも,本件本訴が提起された時点においては,
−被上告人が〜別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく,
−本件店舗部分における営業利益相当の損害が発生するにまかせて,
−その損害のすべてについての賠償を上告人らに請求することは,条理上認められない〜,

−〜416条1項にいう通常生ずべき損害の解釈上〜上記措置を執ることができたと解される時期以降における〜営業利益相当の損害のすべてについて〜請求することはできない〜。