Genmai雑記帳

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札幌地裁:携帯電話契約への親権者同意・錯誤

平成20年08月28日 札幌地裁 判決
裁判概要

 〜未成年者の携帯電話利用契約締結に際し〜上限を設定できる料金プランであるとの説明のもと、法定代理人が同意〜、現実には〜上限額変更が可能〜、未成年者が増額〜2カ月分約19万円〜を電話会社が請求〜。

 裁判所〜同意につき錯誤無効〜未成年者取消しを認めつつ〜現存利益があること〜が監護義務を尽くしたとはいえないこと等を理由に、限度額を超える利用額の3割の支払いを命じた。

携帯電話の未成年者契約につき、法定代理人の同意に錯誤があったとして未成年者取消しを認めた事例(消費者問題の判例集)_国民生活センター

(抽出・加工あり。原文参照)

 〜代理店を訪れ、子どもにパスワードを知らせなければ、勝手に上限額を増額できないから大丈夫であることなどの説明を受けた。〜締結〜に〜同意〜。
 〜友人から〜パスワードを初期化し、上限額を増額できることを聞いた。〜サービスセンターに電話〜契約者本人であることを告げ、パスワードを初期化〜上限額の増額を繰り返した。

1 錯誤について

 〜本件プランを選択〜する限り、無断で上限額が変更されないことを動機に〜締結し〜動機はXに表示されている。
〜増額変更の可否を管理できるかどうかは重要な要素〜要素に錯誤があった〜。

2 錯誤の範囲について

 〜増額変更部分に関する事前同意についてのみ錯誤無効〜。
〜増額変更行為については未成年者取消しが認められるというべき〜

3 現存利益などについて

 〜増額変更〜利用している〜、これに対応する範囲の料金支払債務を免れている〜役務提供を受けた限度において利益が現存する〜
〜限度額を超える部分〜約16万円相当の利益を受けている〜
 しかしながら、未成年者の法律行為について親権者の同意を要するものとされた趣旨・目的等に照らせば、〜説明義務がなされないまま〜締結し〜無断増額変更を防ぐことが困難な状態であった点を重視すべき〜
 一方、Y2にも監護義務を十分に尽くしたとはいいがたい面もあることを考慮〜信義則〜不当利得返還請求は、未成年者取消し相当額の3割に相当する約5万円の範囲で認める〜

国セン解説

 〜サービスの利用ができなかったのであれば、別の方法で〜サービスを利用することとなったのであれば「現に利益を受けた」と評価できる。
 しかし、未成年者〜未熟な判断で浪費的な利用をした場合、「現存利益」はないと評価すべき〜未成年者保護の制度趣旨に反する〜
 〜未成年者取消しにおいて現存利益を認めなかったものとして、茨木簡裁昭和60年12月20日判決〜