Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:相続放棄の熟慮期間

(2009-01-25分の改記)
昭和57(オ)82 貸金等
昭和59年04月27日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 〜相続開始の原因となる事実及び〜自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合には〜相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当〜

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜「熟慮期間」〜相続開始〜事実及び〜相続人となつた事実を知つた場合には、通常〜各事実を知つた時から三か月以内に、調査すること等によつて、相続すべき積極及び消極の財産〜の有無〜状況〜を認識し又は認識することができ〜選択すべき前提条件が具備されるとの考えに基づいている〜
−〜原則として、相続人が前記の各事実を知つた時から起算すべきものであるが〜

−〜知つた場合であつても〜知つた時から三か月以内に〜放棄をしなかつたのが〜
−〜相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し〜調査を期待することが著しく困難な事情があつて〜信ずるについて相当な理由がある〜ときには、
−〜前記の各事実を知つた時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でない〜、

−熟慮期間は〜相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべき

〜B1が家出〜Dの妻が〜B2〜B3を連れて家出〜以後〜亡Dとの間に親子間の交渉が全く途絶え、約一〇年間も経過したのちに本件連帯保証契約が締結された。
〜死亡〜約一年を経過したのちに〜判決正本の送達を受けて初めて本件連帯保証債務の存在を知つた。

3カ月を過ぎた場合にも相続放棄が認められる場合として、リーディングケースになった有名な判例です。
元々の記事は、しまなみ法律事務所の寄井真二郎先生の記事をきっかけに書きました。
介護・遺言・相続: 田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)

この記事にも、他に3つの判例が引用されていますが、
期間経過後の相続放棄には、大変、沢山の判例が紹介されています。(大感謝)

一方、現役裁判官の記事にも、下記のようなものがあります。
日本裁判官ネットワーク

その他、参考となる記事
高松高裁:債権者から誤回答あった場合の相続放棄 - Genmai雑記帳