Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:預金の払戻請求と権利濫用

(2009-03-09分の改記)
平成19(受)152 預金払戻請求事件
平成20年10月10日 最二小判
裁判要旨

 〜振込依頼人と受取人との間に〜原因となる法律関係が存在しない場合に〜払戻しを請求すること〜は〜詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど〜著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用〜が〜不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当た〜ない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 上告人は,A銀行〜に〜普通預金口座〜上告人の夫〜Bは,C銀行〜に〜定期預金〜を開設〜。
(2) 窃取者ら〜は,〜上告人の自宅に侵入〜通帳及び〜届出印を窃取〜。
(3) 〜C銀行〜において〜夫の定期預金〜を解約〜1100万〜円〜を〜普通預金口座に振り込むよう依頼〜。
(4) 〜同日〜A銀行〜において〜通帳等を提示して,〜銀行は〜1100万円を交付〜。
(5) 上告人は,A銀行〜に対し〜1100万円の払戻しを求め〜争っている。

原審

〜上告人は〜当該利得を返還すべきもの〜自己のために払戻しを請求する固有の利益を有せず〜〜返還すべきものとして保持し得るにとどまり,その権利行使もこの返還義務の履行に必要な範囲にとどまる〜。
〜本件払戻しにより〜上告人の利得は消滅したから〜不当利得返還義務の履行のために保持し得る利得も存在しない。〜権利の濫用〜

最高裁

〜振込みがあったときは〜原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず,受取人と銀行との間に〜普通預金契約が成立〜,受取人〜普通預金債権を取得する〜,〜受取人が〜不当利得返還義務を負う場合であっても〜普通預金債権を有する以上〜不当利得返還義務の履行手段としてのものなどに限定される理由はない〜

〜振込依頼人と受取人との間に〜原因となる法律関係が存在しない場合に〜,払戻しを受けることが〜不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど〜著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が〜不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当たるということはできない〜。