Genmai雑記帳

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最高裁:株主代表訴訟の対象となる「取締役ノ責任」

(2009-03-12分の改記)
平成19(受)799 所有権移転登記手続請求事件
平成21年03月10日 最三小判
裁判要旨

 株主代表訴訟の対象となる商法〜267条1項にいう「取締役ノ責任」には〜266条1項各号所定の責任など〜取締役の地位に基づいて〜負わせている責任のほか,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれる。

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(抽出・加工あり。原文参照)

A(会社)が〜買い受けて〜所有権を取得した〜被上告人(取締役)への所有権移転登記がされている〜
(1)主位的には,〜Aの〜所有権に基づき,Aへの真正な登記名義の回復〜を求め,
(2)予備的には,Aは〜被上告人に対し〜所有名義を被上告人とする所有権移転登記手続を委託し,被上告人との間で期限の定めのない被上告人所有名義の借用契約を締結していたが,遅くとも本件訴状が被上告人に送達された時までには上記借用契約は終了した〜真正な登記名義の回復〜を求めている

原審

株主代表訴訟〜追及〜できる取締役の責任は,商法266条1項各号所定の責任など,商法が取締役の地位に基づいて取締役に負わせている厳格な責任(以下「取締役の地位に基づく責任」という。)を指す〜株主代表訴訟の対象とはならない〜

最高裁

〜「取締役の会社に対する取引債務」〜についても,会社に対して忠実に履行すべき義務を負うと解される〜「取締役ノ責任」には,取締役の地位に基づく責任のほか,取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれる〜

〜主位的請求は〜取締役の地位に基づく責任を追及するものでも,取締役の会社に対する取引債務についての責任を追及するものでもないから〜却下〜は〜是認〜できる。
〜予備的請求は〜所有名義の借用契約の終了に基づき〜所有権移転登記手続を求めるものであるから,取締役の会社に対する取引債務についての責任を追及するものということができ株主代表訴訟として適法〜