Genmai雑記帳

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最高裁:親権者による担保設定

平成1(オ)759 根抵当権等抹消登記手続
平成4年12月10日 最一小判
裁判要旨抜き書き

一 親権者が子を代理する権限を濫用〜した場合〜相手方が〜濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法93条ただし書の規定の類推適用により、その行為の効果は子には及ばない。
二 親権者が子を代理して〜不動産を第三者の債務の担保に供する行為は〜法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、代理権の濫用には当たらない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜被上告人〈元未成年者〉が上告人〈保証会社?〉に対し〜根抵当権〜抹消登記〜を求めるもの〜

3 Hは、被上告人の親権者として〜上告人が〜J〜に対して〜取得する債権を担保するため〜根抵当権を設定〜を承諾〜登記〜。
4 〜極度額を〜変更〜付記登記〜。
5 Jは〜K銀行〜から〜借り受け〜使途はJの事業資金〜被上告人の生活資金〜その他被上告人の利益のために使用されるものではなかった。〜
6 上告人は〜Jの右各借受金債務を保証〜。
7 上告人は〜設定〜極度額変更〜に際し、5の事実を知っていた。

原審

〜行為は、専ら第三者であるJの利益を図るもの〜濫用に当たるところ、上告人は〜濫用の事実を知っていた〜民法九三条ただし書〜類推適用〜被上告人には〜効果は及ばない〜

最高裁

1 〜原則として、子の財産上の地位に変動を及ぼす一切の法律行為につき子を代理する権限を有する〜
右権限を濫用して法律行為をした場合において〜相手方が右濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法九三条ただし書〜類推適用〜行為の効果は子には及ばない〜〜昭和三九年(オ)第一〇二五〜)。

2〜親権者が子を代理してする法律行為は〜利益相反行為に当たらない限り〜子のために親権を行使する親権者が子をめぐる諸般の事情を考慮してする広範な裁量にゆだねられている〜

親権者が子を代理して〜不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、利益相反行為に当たらない〜
〜それが子の利益を無視して自己又は第三者の利益を図ることのみを目的としてされるなど、〜法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り〜の濫用に当たると解することはできない〜

〜それが子自身に経済的利益をもたらすものでないことから直ちに第三者の利益のみを図るものとして〜濫用に当たると解するのは相当でない。

親権者の財産管理権 | いいねを押したい弁護士ブログで取り上げておられた判例は、これかと思われましたので、読んでみました。(感謝)