Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:所有の意思推定が覆される場合・登記請求、納税

(2009-04-02分の改記)
平成6(オ)1905 土地所有権移転登記、土地持分移転登記
平成7年12月15日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 〜名義人甲の弟乙が〜継続して占有〜乙の家が分家という関係〜、乙が経済的に苦しい〜甲から援助を受けた〜、乙は家族と共に居住〜建物を建築〜使用〜、甲は〜異議を述べ〜なかった〜、
−乙が〜移転登記手続を求めず〜固定資産税を負担しなかったこと〜、外形的客観的にみて乙が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情として十分で〜ない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文

(抽出・加工あり。原文参照)
原審

(1)〜E〜とD(Eの弟)との間で〜交換〜認めるに足りない〜
−Dが上告人らに対し〜贈与したと認めるに足りない〜、
−Dによる〜占有の開始が交換契約により所有権を取得したと認識した上のものであると認めるに足りず、
−上告人らによる〜占有の開始も贈与契約により所有権を取得したと認識した上のものであると認めるに足りないとし、〜
(2)〜知りながら〜登記手続を求めることなく長期間放置〜、
−〜固定資産税を負担〜しなかったなど、
−所有者としてとるべき当然の措置をとっていないことを総合して考慮〜、〜所有の意思がなかった〜

最高裁

〜一八六条一項〜占有者は所有の意思〜推定〜、〜自主占有に当たらないことを理由に取得時効の成立を争う者は〜所有の意思のない〜についての立証責任〜
−〜所有の意思は〜占有取得の原因である権原又は占有に関する事情により外形的客観的に定められる〜
−〜その性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、
−〜占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度〜若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかったなど、
−外形的客観的にみて〜他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情〜が証明されて初めて〜所有の意思を否定することができる〜(〜58年03月24日一小判〜)。

〜原審(1)〜は、〜内心の意思が所有の意思のあるものと認めるに足りないことを理由に〜所有の意思のない占有に当たるという〜その性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実を確定した上で〜ない。
〜原審(2)〜は、〜長期間〜登記手続を求めなかったこと〜固定資産税を全く負担しなかったことをもって他主占有事情に当たると判断〜。

移転登記手続を求めないこと〜悪意を推認させる事情〜であり、他主占有事情として考慮される場合においても〜人的関係等によっては、所有者として異常な態度であるとはいえないこともある

〜固定資産税の納税義務者は「登記簿〜に〜登記されている者」である〜から、他主占有事情として通常問題になるのは〜名義人に〜賦課されていることを知りながら、自分が負担すると申し出ないことである〜これについても〜税額等の事情によっては、所有者として異常な態度であるとはいえないこともある

〜これらの事実は、他主占有事情の存否の判断において〜外形的客観的な事実の一つとして意味のある場合もあるが、常に決定的な事実であるわけではない。

〜建物を建築し、妻子と共にこれに居住し始め〜移築〜増築〜建築〜増築〜、
〜E又はFは〜異議を述べたことがなかった、
〜DはEの弟であり、いわばD家が分家、E家が本家という関係〜経済的に苦しい生活をしていたD家がE家に援助を受けることもあった〜、〜事実をも総合して考慮するとき〜移転登記手続を求めなかったこと〜固定資産税を負担しなかったことをもって他主占有事情として十分であるということはできない。

★判例等:取得時効関係判例・記事(随時更新) - g-note(Genmai雑記帳)