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最高裁:収益執行における賃料等請求権と相殺

2009-07-07分の改記分)

平成19(受)1538 賃料等請求事件
平成21年07月03日 最二小判
裁判要旨抜き書き

1 〜収益執行の管理人は〜給付を求める〜権限を取得するにとどまり,同権利自体は〜開始決定の〜後に弁済期の到来するものであっても,所有者に帰属する。

2 抵当不動産の賃借人は〜収益執行の開始決定の効力が生じた後においても〜設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺〜できる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・ 原文
(抽出・加工あり。原文参照)

〈1〉〜担保不動産から生ずる収益を確実に被担保債権の優先弁済に充てるためであり,管理人に担保不動産の処分権限まで与えるものではない〜

〜管理人が取得するのは,賃料債権等の担保不動産の収益に係る給付を求める権利(以下「賃料債権等」〜)自体ではなく,その権利を行使する権限にとどまり,賃料債権等は,担保不動産収益執行の開始決定が効力を生じた後も,所有者に帰属している〜開始決定〜後に弁済期の〜賃料債権等についても変わるところはない。

〜そうすると〜開始決定〜後も〜所有者は賃料債権等を受働債権とする相殺の意思表示を受領する資格を失うものではない〜(昭和37(オ)743・40年07月20日三小判〜)〜

(2) 〜被担保債権について不履行があったときは抵当権の効力は担保不動産の収益に及ぶが,そのことは抵当権設定登記によって公示されている〜賃借人が〜設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権については,賃料債権と相殺することに対する賃借人の期待が〜優先〜(平成11(受)1345・13年03月13日三小判〜),

 〜担保不動産の賃借人は,抵当権に基づく担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後においても,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし,賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することができる〜

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