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最高裁:破産免責債権についての保証人による消滅時効援用

平成9(オ)426 求償債権請求事件
平成11年11月09日 最三小判
裁判要旨

 主債務者である破産者が免責決定を受けた場合に、免責決定の効力の及ぶ債務の保証人は、その債権についての消滅時効を援用することができない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

1(一)〜Gは〜H銀行から〜借り入れた。
 (二) 上告人は〜信用保証委託契約を締結〜。
 (三) 被上告人は〜上告人との間で、Gが右信用保証委託契約に基づき〜負担する〜債務について連帯して保証〜。
 (四) Gは〜期限の利益を失い、上告人は〜弁済〜。

3 Gは〜破産の宣告〜免責決定〜。

4 上告人は、被上告人に対し〜連帯保証契約に基づく保証債務の履行として〜金員の支払を求める訴訟を提起〜全部認容〜平成三年〜確定〜。

5 上告人は〜Gに対する〜信用保証委託契約に基づく各求償債権〜につき商事消滅時効の完成が間近に迫っており、これを中断する必要があるとして、平成八年〜被上告人に対し、前記4記載の連帯保証債務の履行を求めて、本件訴訟を提起〜

最高裁

〜免責決定の効力を受ける債権は、債権者において訴えをもって履行を請求しその強制的実現を図ることができなくなり、右債権については、もはや民法一六六条一項に定める「権利ヲ行使スルコトヲ得ル時」を起算点とする消滅時効の進行を観念することができない〜

〜破産者が免責決定を受けた場合には、右免責決定の効力の及ぶ債務の保証人は、その債権についての消滅時効を援用することはできない〜。

〜免責決定の確定によりGは本件債権につきその責任を免れており、Gの連帯保証人である被上告人は、もはや本件債権についての消滅時効を援用することはできないところ、
−上告人は、被上告人に対して〜連帯保証債務の履行を求める別件訴訟を提起して勝訴判決を得ており〜上告人においてこれと同一の債権につき更に給付を求める本件訴えは、訴えの利益を欠く〜。

寄居先生が取り上げておられましたので、原文を確認しました。
【金融・企業法務】 主債務の消滅時効完成前の破産免責と保証人による消滅時効援用の可否 銀行法務21: 田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)

・連帯保証人への「履行の請求」→保証債務の消滅時効中断→主債務の消滅時効も中断
・連帯保証人の「債務承認」→主債務の消滅時効は中断しない。(主債務の消滅時効の中断手続が必要)
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