Genmai雑記帳

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最高裁:遺留分減殺請求に対する「弁償すべき額」の確認利益

(2009-12-20分の改記分)
平成21(受)35 債務不存在確認等,遺言無効確認等請求事件
平成21年12月18日 最二小判
裁判要旨抜き書き

 〜遺留分減殺請求を受けた受遺者が〜価額を弁償する旨の意思表示をしたが〜権利者から〜現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合に〜弁償すべき額に〜争いがあり〜判決によってこれが確定されたときは速やかに支払う意思がある旨を表明して,弁償すべき額の確定を求める訴え〜確認の利益がある。

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(抽出・加工あり。原文参照)

遺留分減殺請求の意思表示〜をし〜価額を弁償する〜意思表示をした。
〜被上告人らは〜目的物の返還請求も価額弁償請求もいまだ行っていない。
(5)〜請求の趣旨〜,
〈1〉被上告人Y1は〜遺留分減殺請求権を有しないことの確認を求める旨,
〈2〉被上告人Y2が〜有する遺留分減殺請求権は〜円を超えて存在しないことの確認を求める旨〜
〜上告人は〜弁償〜額を確定したいため〜各確認の訴えを提起したものである旨を述べた。

原審

〜確認の利益を欠き不適法〜
(1)〜いまだ価額弁償請求権を行使していない。〜確定的に発生しておらず〜将来の権利の確定を求めるもの〜。
(2) 〜価額弁償をして〜返還義務を免れるためには現実の履行又は履行の提供を要する〜判決によって確定しても〜現実に履行されることが確実〜いえない。〜金額は,事実審の口頭弁論終結時を基準〜判決の確定時に隔たり〜各確認の訴えは〜適切とはいい難い。

最高裁

(1) 被上告人Y1に〜について
〜合理的に解釈すれば〜遺留分を侵害〜はなく〜Y1が持分権を有していないことの確認を求める趣旨〜と理解〜可能〜。〜上記の趣旨の訴えであれば,確認の利益が認められる〜。〜上記の趣旨をいうものであるかについて釈明権を行使すべきであった〜

(2) 被上告人Y2〜について
ア 一般に〜遺留分減殺請求権を行使〜侵害する限度で失効〜上記の限度で当然に〜権利者に帰属〜,〜受遺者は〜帰属した〜目的物を返還すべき義務を負うものの〜減殺を受けるべき限度において〜価額を弁償し〜履行の提供をすることにより〜返還義務を免れることができる〜
−〜権利者に帰属した〜価額を弁償し〜履行の提供をすることを解除条件として〜目的物の返還義務を負う〜このような解除条件付きの義務の内容は,条件の内容を含めて現在の法律関係というに妨げなく,確認の対象としての適格に欠けるところはない〜

イ 〜価額を弁償し〜履行の提供をして〜返還義務を免れたいと考えたとしても,弁償すべき額につき〜争いがあるときには〜遺産の範囲〜権利者に帰属した持分割合〜価額を確定するためには,裁判等の〜厳密な検討を加えなくてはならないのが通常〜
−〜裁判所の判断なくしては〜価額を弁償し〜履行の提供をして〜返還義務を免れることが事実上不可能となりかねない〜。〜裁判所の判断により確定〜不安定な状況を除去するために有効,適切〜。
−〜確定されたときは〜速やかに支払う意思がある旨を表明して〜確定を求める訴えを提起した場合〜確定後速やかに価額弁償がされることが期待できるし〜権利者においては,速やかに〜返還請求権又は価額弁償請求権を自ら行使することにより〜口頭弁論終結の時と現実に価額の弁償がされる時との間に隔たりが生じるのを防ぐことができる〜価額算定の基準時は現実に弁償がされる時であること〜を考慮しても〜その額を確定する利益が否定されるものではない。

ウ 以上〜遺留分権利者から〜減殺請求を受けた受遺者等が〜価額を弁償する旨の意思表示をしたが〜権利者から〜現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合〜弁償すべき額につき〜争いがあり,受遺者等が判決によって〜確定されたときは速やかに支払う意思がある旨を表明して,弁償すべき額の確定を求める訴えを提起したときは〜特段の事情がない限り〜確認の利益がある〜。