Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:過大申告による納税と事務管理

(2010-01分の改記分)
平成21(受)96 不当利得返還請求事件
平成22年01月19日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 共有者の1人が共有不動産から生ずる賃料を全額自己の収入として〜所得税〜を過大に申告して〜納付〜しても,他人のために事務を管理したということはできず,事務管理は成立しない。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1)〜兄弟〜不動産〜共有
(2) 被上告人は〜賃貸〜など〜管理し,平成元年〜同18年〜まで〜賃料収入を得た。各確定申告において〜全額を被上告人の不動産所得〜収入金額として申告〜。
(3) 上記賃料収入の2分の1は〜上告人に帰属すべきもの〜不当利得返還請求権〜。
(4) 〜被上告人は〜固定資産税,修繕費等を支払い,また〜上告人が負担すべき相続税を納付〜事務管理に基づく費用償還請求権等として〜反対債権を取得〜。〜相殺。

原審

〜上告人〜部分を含めて〜確定申告した結果過大に支払うこととなった所得税及び市県民税〜についても〜事務管理に基づく費用償還請求権を有する〜相殺を認め〜

最高裁

所得税は,個人の収入金額から必要経費及び所定の控除額を控除して〜所得金額を課税標準として〜課される税〜,納税義務者は当該個人〜。本来他人に帰属すべき収入を自己の収入として所得金額を計算し〜過大に申告した場合であっても〜他人が過大に申告された分の〜納税義務を負うわけではなく,申告をした者が〜全額について納税義務を負う〜。
−また,過大な申告をした者が〜全額納付したとしても〜当該他人が本来負うべき納税義務が消滅するものではない。

〜共有者の1人が共有不動産から生ずる賃料を全額自己の収入として〜計算し〜過大に申告〜納付したとしても,過大〜納付〜分を含め,所得税の申告納付は自己の事務であるから,他人のために事務を管理したということはできず,事務管理は成立しない〜市県民税についても同様〜。