Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:明示的一部請求の訴えの提起と時効中断

平成24(受)349 未収金請求事件
平成25年06月06日 最一小判
裁判要旨抜き書き

1 明示的一部請求の訴えの提起は〜債権の総額が認定されたとしても,残部について裁判上の請求に準ずるものとして消滅時効の中断の効力を生ずるものではない
2 〜特段の事情のない限り,残部について裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生ずる
3 催告から6箇月以内に再び催告をしても,第1の催告から6箇月以内に153条所定の措置を講じなかった以上〜時効が完成〜第2の催告が明示的一部請求の訴えの提起による裁判上の催告であっても異ならない

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(4) 上告人は,平成17年4月〜内容証明郵便で〜催告〜
(5) 〜17年10月〜債権のうち5293万〜の支払を求める訴え〜提起〜総額は3億〜円であり〜一部〜を請求すると主張〜
〜被上告人は〜上記総額には〜相殺〜消滅〜分が含まれていると主張〜
(6) 大阪高裁は,平成21年4月〜現存〜額は7528万〜円であると認定〜上告人の請求を全部認容〜9月〜確定〜。
(7) 上告人は,平成21年6月〜,本件訴えを提起〜別件〜の認定に沿って〜残部〜主張〜被上告人は〜残部〜は〜催告から6箇月以内に〜153条所定の措置を講じなかった以上〜消滅時効が完成〜主張〜援用〜

所論

〈1〉〜別件判決において〜抗弁に理由があると判断された上〜円であると認定されたのであるから,別件訴えの提起は〜残部についても,裁判上の請求に準ずるものとして消滅時効の中断の効力〜,
〈2〉仮に〜〈1〉のように解することができなくとも,別件訴えの提起は〜残部について,裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生ずる〜別件〜係属中に〜提起されたのであるから〜残部につき確定的に消滅時効の中断の効力〜

最高裁・所論〈1〉について

ア 〜可分な債権の一部についてのみ〜旨を明示して訴えが提起〜裁判上の請求としての消滅時効の中断の効力は,その一部についてのみ生ずる〜残部について,裁判上の請求に準ずるものとして〜中断の効力〜ない(昭和31年(オ)388・34年02月20日最二小判)。
〜明示的一部請求の訴え〜に係る訴訟において〜一部が消滅〜の抗弁が提出され〜判決において〜総額の認定がされたとしても,異なるものではない〜
〜なぜなら〜理由中の判断にすぎない〜,残部のうち消滅していないと判断された部分については,その存在が確定していないのはもちろん,確定したのと同視することができるともいえない〜

所論〈2〉について

ア 明示的一部請求の訴えにおいて請求〜部分と〜残部とは,請求原因事実を基本的に同じくする〜将来にわたって残部をおよそ請求しないという意思の下に請求を一部にとどめているわけではないのが通常〜一部請求〜係属中は,原則として,残部についても権利行使の意思が継続的に表示されている〜。
〜明示的一部請求の訴えが提起された場合,債権者が将来にわたって残部をおよそ請求しない旨の意思を明らかにしているなど,残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情のない限り〜訴えの提起は,残部について,裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生ずる〜訴訟の終了後6箇月以内に153条所定の措置を講ずることにより,残部について消滅時効を確定的に中断〜。

イ もっとも,催告は,6箇月以内に〜措置を講じなければ〜効力を生じない〜催告から6箇月以内に再び催告をしたにすぎない場合にも時効の完成が阻止されることとなれば,催告が繰り返された場合にはいつまでも時効が完成しないことになりかねず〜趣旨に反し,相当ではない。
 〜消滅時効期間が経過した後,その経過前にした催告から6箇月以内に再び催告をしても,第1の催告から6箇月以内に〜所定の措置を講じなかった以上は,第1の催告から6箇月を経過することにより,消滅時効が完成〜第2の催告が〜一部請求の訴えの提起による裁判上の催告であっても異なるものではない。
ウ 〜本件〜消滅時効が完成〜。