Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

親子関係不存在確認ある場合の相続

被相続人である母死亡後に「父母との親子関係不存在確認」の記載がある戸籍を見て疑問をもってしまいました。
(判決文から)

親子関係不存在確認訴訟は、存否について関係者間に紛争がある場合に対世的効力を有する判決をもって画一的確定を図り,これにより実親子関係を公証する戸籍の記載の正確性を確保する機能を有するもの

「家事・人訴事件の理論と実務」を読んでみました。
 この本は人事訴訟をやる弁護士さん向けとでも言うか、専門的すぎて私などは滅多に見ることはありませんでしたが、手元にある専門書はこれしかありませんでしたので見てみました。*1
【関係者用資料】(pass付)

【虚偽の出生届】

判例は、養子縁組の効力を一貫して認めない。(要式性)
昭和50年04月08日最三小判
→子の利益を守るため、親子関係不存在確認の請求を権利の濫用とする流れが出てきた。
平成18年07月07日最二小判・平成17(受)1708/同日最二小判・平成17(受)833

【父母との合一確定の要否】

かつては合一確定が必要とされていたが、現在は父子関係と母子関係は別個の訴訟物とされる。(昭和56年06月16日最三小判

【死者との親子関係】

かつては確認の利益を否定。現在は認める。(昭和45年07月15日最大判)
親子の一方が死亡している場合は、生存する者のみを被告とすれば足りる。(昭和56年10月01日最一小判)

【父母一方死亡の場合の判決・戸籍記載】

当事者は、生存配偶者のみだが、主文には、
「甲は、乙及び亡丙との間に親子関係がないことを確認する。」などとするものが多い。
 その後、23条審判に関し、亡親との不存在確認部分については対世効がないとされる判決が出た。(昭和37年07月13日最二小判)
が、その後も、上記のような表示例が多く、戸籍もその取扱いを排斥していない。

☆権利の濫用として認めない場合は、たとえ実際の親子関係がないことが明らかな場合でも、「相続権がある」扱いになると思われます。(既に相続登記などを行なっている場合も、これから行なう場合も)
 だけど最後の判例によれば、この戸籍をどう見れば良いのでしょうか? 

*1:ちなみにこの本、ほとんど読んだことがなかったのですが、在庫切れとなっているようで、2倍以上の値段になっていました。「う、売るべきか?、内容コピーしておいて・・・」